
年齢とともに気になってくる「口元のたるみ」。なかでもマリオネットラインは、老けた印象や疲れた表情の原因になりやすい部分です。
実はこのライン、加齢だけでなく“顔の筋肉の使い方”とも深く関係しています。
今回は表情筋研究家の視点から、マリオネットラインができる原因と、トレーニングで改善できる理由を詳しく解説します。
マリオネットラインとは?

「マリオネットライン」とは、口角の両端からあごに向かって縦に伸びる2本の深いラインのことを指します。マリオネット人形のような口元のラインに似ていることからこの名前がつけられました。
マリオネットラインは老け顔の象徴ともいわれ、顔が疲れて見えたり、口元がへの字に下がって見える原因にもなります。見た目の印象が大きく変わってしまうため、気にされる方も多いパーツです。
マリオネットラインができる原因
マリオネットラインは、主に以下の要素が重なってできるといわれています。
1. 表情筋の衰え・偏った使い方

口元の周囲には、口角を引き上げたり下げたりするたくさんの筋肉が存在します。
この筋肉のうち、口角を下げる筋肉(口角下制筋)や下唇を引き下げる筋肉(下唇下制筋)が強く働きすぎたり、逆に頬や口角を引き上げる筋肉(大頬骨筋・口角挙筋など)が弱くなることで、重力に逆らえず、口元のラインが下がっていきます。
特に、無表情でいる時間が長い人や、口元が「ぼーっと開いている」人は、マリオネットラインが深くなりやすい傾向があります。
2.皮膚や皮下組織のたるみ

加齢によって、コラーゲンやエラスチンの減少、皮下脂肪のゆるみが進むと、皮膚を支えきれずにたるみが生じます。
頬の脂肪が下に落ちてくると、口角の両端にたるみが溜まりやすくなり、マリオネットラインとして現れます。
3. 頬とあごの筋肉のアンバランス

頬の筋肉(上部)とあごの筋肉(下部)のバランスが悪いと、口元にゆがみやたるみが集中しやすくなります。
とくに口周りの筋肉(口輪筋)が弱くなると、口角のコントロールが難しくなり、たるみが強調されやすくなります。
3.姿勢の悪さ・噛みぐせ・表情のクセ

下を向く姿勢が多い、片側だけで噛む、表情のクセで片側の筋肉だけを使っているなど、日常の習慣もマリオネットラインの形成に関係しています。
姿勢が崩れると重力の影響を受けやすくなり、筋肉の使い方も偏ることで、ラインが深くなっていきます。
あごで笑うクセがマリオネットラインを深くする

さらに、日頃の「笑い方」が、マリオネットラインを深くしてしまうことがあります。
本来、笑顔をつくるときには、口角から縦に走る口角挙筋(こうかくきょきん)という筋肉を使って口角を縦に引き上げ、口角から上の筋肉を働かせるのが理想です。
しかし、これらの筋肉がうまく使えない人は、無意識のうちにあごを引き下げる動きで笑顔を作るクセがついていることがあります。
これが、いわゆる「あごで笑う」というクセで、マリオネットラインが目立ちやすくなる原因のひとつです。
このクセが続くと、次のような悪循環が生まれます。
下に引っ張る筋肉ばかり使う

あごで笑うクセのある人は、口角下制筋(こうかくかせいきん)や広頸筋(こうけいきん)など、口元から首にかけて下に引っ張る筋肉を多く使ってしまいます。
本来は笑うときに使うべき「引き上げる筋肉」が使われていないため、口角が下がりやすくなり、たるみが定着しやすくなるのです。
特にマリオネットラインは、口角の下のたるみが落ちてくることで強調されるラインなので、笑顔のたびにあご側の筋肉ばかり使っていると、ラインが深くなるリスクが高まります。
表情が不自然になり、印象も暗くなる
あごで笑うと、口だけが動いて頬が動かない不自然な笑顔になります。
これは、笑っているのに目元や頬に動きが出ず、「作り笑い」「疲れて見える」といった印象を与えやすくなります。
また、頬の筋肉が使われないとリフトアップ効果が得られず、顔の下半分がたるみやすくなるため、より重力の影響を受けやすくなります。

表情筋トレーニングでマリオネットラインは改善できる?
結論からいえば、マリオネットラインは表情筋トレーニングで改善・予防が可能です。
その理由は以下の通りです。
1.口角を引き上げる筋肉を鍛えることができる
マリオネットラインが目立ってしまう大きな要因のひとつは、口角が常に下がった状態が続いてしまうこと。そのため、口角を引き上げる筋肉をしっかり使えるようにすることが、ラインの改善につながります。
とくに重要なのが「口角挙筋」(こうかくきょきん)。この筋肉は、口角を自然に上げて、明るい印象の笑顔をつくる“要”の存在です。口角挙筋がしっかり働くようになると、あごの力に頼らずに口元を引き上げられるようになり、顔全体が軽やかに。
結果として、マリオネットラインが目立ちにくくなり、すっきりと引き締まったフェイスラインを目指すことができます。
2.下に引っ張る筋肉の過緊張をゆるめられる
マリオネットラインが深くなる人は、口角下制筋や広頚筋など、顔の下側の筋肉ばかり使っている傾向があります。これらの筋肉を「ゆるめる」ことも、ラインの軽減には重要なポイントです。
表情筋トレーニングでは、ただ鍛えるだけでなく、緊張した筋肉をゆるめ、使えていない筋肉を目覚めさせるというアプローチが可能です。
3.巡りが良くなり、むくみやたるみが軽減する
表情筋を大きく動かすことで、顔の血行やリンパの流れが促進されます。
その結果、むくみや老廃物の停滞が解消され、フェイスラインがスッキリと整いやすくなります。
マリオネットラインが気になる人の多くは、顔下半分に“重さ”がたまっている状態なので、トレーニングでめぐりを整えることは非常に有効です。
4.自分の顔を観察する習慣がつく
表情筋トレーニングを続けていくことで、自分の顔を観察する習慣がつきます。
「今日は右側の口角が下がってる」「ここが硬い」など、自分で変化に気づけるようになることで、日々の表情の使い方にも意識が向くように。
これは、ラインの予防にもつながる大きなメリットです。
“引き上げ筋”=口角挙筋を活性化させよう

マリオネットラインを改善するためには、「下に引っ張る筋肉をゆるめる」だけでなく、それと同時に「引き上げる筋肉をしっかりと働かせる」ことが欠かせません。この引き上げ役として中心的な役割を果たすのが、口角挙筋です。
口角挙筋は、上唇の横から口角にかけて伸びている細長い筋肉で、その名の通り、口角を上に引き上げる働きを担っています。また、大頬骨筋などの頬のリフトアップ筋とも連携しており、明るく自然な笑顔を形づくる上で非常に重要な筋肉でもあります。
しかし、この口角挙筋は、日常生活ではあまり意識して使われることが少ない筋肉のひとつ。
特に、無表情でいる時間が長い方や、口元に力が入りやすい「への字口」のクセがある方、笑うときに頬ではなくあごに頼っている方などは、この筋肉の活動が極端に低下してしまっている傾向があります。
その結果、本来なら上へ引き上げるべき力が弱まり、下に引っ張る筋肉(口角下制筋や広頚筋)ばかりが優位に働いてしまうというアンバランスな状態に。
これが、マリオネットラインを深く定着させる原因のひとつとなるのです。
口角挙筋を意識して使い、トレーニングによってしっかりと鍛えていくことで、口元を支える筋肉の土台が整い、フェイスラインが引き締まり、たるみの予防や改善につながります。
また、笑顔が上方向に引き上がるようになれば、表情そのものが柔らかく明るく見えるようになり、顔全体の印象も若々しく前向きに変化していきます。
つまり、口角挙筋の活性化は、マリオネットライン対策において“見た目の変化”だけでなく、“表情の印象づくり”という意味でも非常に大きなカギを握っているのです。
「あごリセット」でマリオネットラインを改善しよう
そこで今回は、あご周りの力を抜き、口角挙筋を使う練習となるトレーニングを紹介します。口の形が逆三角形になるように、口角を縦に引き上げるのがポイントです。口角より上の筋肉を使って笑顔をつくるイメージを持ちましょう。
- ① 口角下をつまむ
- あごの力を抜き、親指と人差し指で軽く口角下をつまみます。

- ② 口角を上げる
- あごを使わずに、口角を上げます。イチ、ニ、サ〜ン!とリズムよく、3回上げ下げを繰り返します。

- ③ 繰り返し
- ①〜②を1セットとして、これを2〜4セット行います。

小顔も叶う!口角挙筋でマリオネットラインにさようなら
マリオネットライン対策で大切なのは、「顔を下に引っ張る力」と「上に引き上げる力」のバランスです。
下方向に働きすぎている筋肉はゆるめ、上に引き上げる筋肉——とくに口角挙筋——を意識的に育てることが、すっきりとした口元と若々しい印象づくりのカギになります。
口角がしっかりと上がるようになると、フェイスラインが引き締まり、年齢にとらわれない明るく自信に満ちた表情が自然と生まれてきます。
今日からぜひ、「あご笑い」から「頬笑い」へと意識をシフトしてみてください。

口角の上げ方を変えるだけで、自然と小顔に見えてきますよ!
MYメソッドアカデミー

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