間々田 佳子

「夕方になると目がショボショボする」「エアコンの部屋にいると目が乾く」

そんなドライアイの症状に悩む人はたくさんいます。原因は単なる涙の減少だけではありません。

実は、目の周りの筋肉の衰えが、目のうるおいを保つ機能にも影響しているのです。このコラムでは、表情筋研究家の視点から、ドライアイの原因と、改善のためのトレーニング方法をお伝えします。

ドライアイとは?

ドライアイとは、その名の通り「目が乾く状態」のこと。

でも、単に涙が少なくなるだけではありません。実は、涙の量が減ることに加えて、涙の質が悪くなったり、涙がすぐに蒸発してしまったりすることで、目の表面が乾いてしまう状態をいいます。涙は、ただの水分ではなく、目を守るための大切なバリアです。

潤いを保つだけでなく、細菌から守ったり、ゴミを洗い流したりする役目もあります。
その涙がうまく働かなくなると、「目がゴロゴロする」「かすむ」「充血する」「まぶしい」といった不快な症状が出てきます。

ドライアイのこんな症状、見逃していませんか?

涙が出やすくなった

「ドライアイなのに涙が出るの?」と思われるかもしれませんが、実は「うるおいすぎ」もドライアイのサイン。

目の表面が乾きすぎて傷つき、防御反応として涙があふれてしまうケースがあります。

質の悪い涙(すぐ蒸発する涙)が原因のことも多く、これは“隠れドライアイ”の典型です。

コンタクトレンズがズレる・違和感がある

涙が少ないと、コンタクトの装着感が悪くなり、「ゴロゴロする」「すぐズレる」などの違和感につながります。

以前は平気だったのに、最近違和感が出てきた……という方は要注意です。

目が重たい・目を開けているのがつらい

乾燥による刺激が続くと、目の周囲の筋肉が疲労し、「まぶたが重く感じる」「目を開けているのがしんどい」といった感覚になることがあります。

これは眼精疲労とドライアイのダブルパンチともいえます。

まぶたがピクピクけいれんする

目の疲れや筋肉の緊張が原因ですが、ドライアイによる目の不快感が引き金になることも。

軽いけいれんでも、ドライアイが背景にあるケースは少なくありません。

なんとなく「視界がスッキリしない」

視力は落ちていないのに、ぼんやりした感じが続く場合、涙がうまく目を覆えていない可能性があります。

涙の膜が乱れると、光の屈折が不安定になり、かすみやにじみを感じることがあります。

光の反射がまぶしく感じる(ドライアイによる羞明)

明るい場所でまぶしさを感じやすいのも、涙の膜が不安定なせいで光が乱反射しているからです。


このように、ドライアイには「目の乾き」以外にもさまざまな症状や背景があります。
特に、加齢や長時間のスマホ・パソコン作業、エアコンによる乾燥などが重なると、ドライアイになりやすくなります。
さらに、コンタクトレンズの長時間使用、メイクのクレンジング不足、運転や読書など「一点を見続ける」習慣、睡眠不足なども、目の乾燥を招く原因になります。

そして実は、「まばたきの回数」や「まばたきの質」も、ドライアイに大きく関係しているのです。

まばたきを回数や質を左右する「眼輪筋」

まばたきは、目の乾きを防ぐための大切な動きです。
実は、まばたきをするたびに、涙が目全体に行きわたり、表面がうるおいでコーティングされる仕組みになっています。そのまばたきをスムーズに行うために働いているのが、「眼輪筋(がんりんきん)」という目のまわりの筋肉です。

眼輪筋(がんりんきん)は、目の周囲をぐるっと円を描くように取り囲んでいる、ドーナツ状の筋肉です。直径はおよそ4〜5センチほどで、まぶたから目の周りの骨の縁(眼窩)にまで広がっています。「まばたき」や「目を閉じる動作」を司る、目元にとってなくてはならない存在です。

眼輪筋はただ目を開け閉めするだけでなく、涙の分泌と排出の流れにも関わる大切な役割を担っています。まばたきの動きによって、涙が目全体に均等に広がり、さらに余分な涙が目頭から鼻に向かって排出されるのです。
つまり、眼輪筋がしっかり働いていれば、目の表面が涙の膜で守られ、うるおいと清潔が保たれるというわけです。

眼輪筋が衰えると起きること

加齢や生活習慣によって眼輪筋が弱まると、まばたきの力が弱くなったり、まぶたが完全に閉じきらなかったりします。すると次のような問題が起こりやすくなります。

眼輪筋が弱まった時の問題

  • 涙が目全体に行き渡らず、乾燥しやすくなる(ドライアイ)
  • 涙の排出がうまくいかず、涙があふれやすくなる(流涙症)
  • まぶたがたるみ、目が重く見えたり、見た目の印象も変わる

また、眼輪筋は目力とも大きく関係しているため、ここが衰えると表情の豊かさが失われ、老けた印象にもつながりやすいのです。

眼輪筋が衰える原因

私たちの目元の健康と印象を支える眼輪筋。
そんな大切な筋肉が衰えてしまうのは、いったいどんな原因があるのでしょうか?

① 加齢による筋力の低下

年齢を重ねると、顔の筋肉全体が少しずつ衰えていきます。眼輪筋も例外ではありません。
筋力が落ちることで、まぶたをしっかり閉じる力が弱くなり、まばたきが浅くなる・うまく目を覆えなくなるため、涙が目全体に行き渡らなくなります。

② 表情の乏しさ・無表情な生活

無表情でいる時間が長いと、表情筋はどんどん使われなくなります。眼輪筋も使わなければ衰えます。いわゆる眼輪筋の運動不足の状態です。
特にマスク生活が続いた影響で、目元の表情を使わなくなった人が増え、まばたきの質が落ちてドライアイが悪化するケースも見られます。

③ 長時間のスマホ・パソコン使用

集中して画面を見ていると、自然とまばたきの回数が減ります。
また、浅いまばたき(まぶたが完全に閉じない)も多くなります。眼輪筋の活動が減るうえに、涙が蒸発しやすくなるため、乾燥を引き起こす大きな要因になります。

④ 姿勢の悪さ・目の酷使

猫背や前かがみで画面を見る姿勢は、顔の筋肉がうまく働かなくなる原因です。
特に、目を見開くような状態が続くと、眼輪筋よりもおでこの筋肉(前頭筋)に頼ってしまい、眼輪筋が使われにくくなります。

⑤ 睡眠不足・血行不良

睡眠が足りないと、目の周りの血流が悪くなり、筋肉にも栄養が届きにくくなります。
結果として、眼輪筋の回復力が落ち、疲労しやすくなることで、まばたきの質にも影響が出ます。

ドライアイを解消するトレーニング

「フェイスシェイク」は、凝り固まって衰えた眼輪筋をほぐすトレーニングです。
眼輪筋がほぐれて正常に動くようになると、まばたきもスムーズになり、瞳がうるおっていきます。

フェイスシェイク

① 閉じる
鼻から息を吸い、吐きながら、目と口をそれぞれキュッと閉じます。
②開く
目と口をパッと開きます。
③ 繰り返し
①〜②を3回1セットとして、3〜5セット行います。

眼輪筋はいくつになっても鍛えらえる

眼輪筋が衰える原因の一つに加齢を挙げましたが、「もう年だから」と諦める必要はありません。

嬉しいことに、眼輪筋は年齢や運動神経に関係なく鍛えることができる筋肉です。
適切な刺激を与えれば、血流が改善し、筋力も少しずつ取り戻せます。
実際に、まばたきを意識したり、目元の筋肉を使う簡単なエクササイズを継続することで、

「ドライアイの症状が軽くなった」「目元がスッキリして若々しく見えるようになった」と実感する方は少なくありません。

フェイスシェイクは、目周りの血行を促進してくれるので、むくみやクマの改善も期待できますよ

筋肉は何歳からでも応えてくれる

——それが表情筋全般、そして眼輪筋の特長です。
今日から少しずつ、目元のケアを始めてみませんか?

MYメソッドアカデミー

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表情筋の状態や顔の使い方のクセにあわせて、さらに詳しいコツをお伝えしています。

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