間々田 佳子

鼻は、顔の中心にあり、印象を大きく左右するパーツです。中でも「団子鼻」と呼ばれる、鼻先が丸く広がった形に悩む方は少なくありません。

実はこの団子鼻、先天的な骨格だけでなく、日々の表情筋の使い方やクセが関係していることをご存じでしょうか?表情筋研究家の視点から、団子鼻の原因を解き明かし、自宅でできる改善トレーニングをご紹介します。

団子鼻とは?

「団子鼻」とは、鼻先が丸く、横に広がって見える鼻の形を指し、医学的には「鼻尖肥大(びせんひだい)」とも呼ばれます。

鼻翼(小鼻)が大きく、鼻先の軟骨に厚みがあったり皮下脂肪が多かったりすることで、鼻が丸く膨らんで見えるのが特徴です。

正面から見ると鼻の輪郭がぼやけて見えるため、顔全体の立体感が損なわれ、のっぺりとした印象を与えてしまうこともあります。

一般的に指摘される原因には

  • 遺伝(骨格・軟骨の形)
  • 鼻先の脂肪や皮下組織が多い
  • 軟骨の発達不足
  • むくみ

などがあり、「生まれつきだから仕方ない」「体質だから変えられない」と思われがちです。

しかし実は、後天的な生活習慣や筋肉の使い方によって、鼻の形や印象は大きく変わっていきます。
特に、上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)という筋肉は、鼻の形に大きな影響を与える“美鼻筋”とも呼べる存在です。

上唇鼻翼挙筋とは?

上唇鼻翼挙筋は、目の内側のくぼみ(眼窩)からスタートし、小鼻と上唇に向かって斜めに走る細長い筋肉です。

この筋肉は以下の2つの働きを担っています

  • 小鼻を引き上げて内側に寄せる
  • 上唇を引き上げ、豊かな表情を作る

つまり、上唇鼻翼挙筋がしっかり働いていると、小鼻は引き締まり、鼻先もスッとシャープに見えるのです。
逆にこの筋肉が衰えたり、うまく使われなくなると、鼻の輪郭が崩れやすくなり、団子鼻の印象が強まります。

団子鼻の3大要因と上唇鼻翼挙筋の関係

①表情筋の衰え〜上唇鼻翼挙筋が眠ると、鼻はぼやける〜

表情筋は「動かさない=衰える」筋肉です。
特に上唇鼻翼挙筋は、日常で意識的に動かす機会が少ない筋肉のひとつ。
マスク生活が続いたり、無表情で過ごす時間が多くなると、さらに使う機会は減っていきます。使わなければこの筋肉は“お休み状態”になり、機能しなくなってしまいます。

その結果

  • 小鼻を引き締める力が弱くなる
  • 鼻筋がぼやけて、団子鼻の印象が強くなる

といった変化が現れます。

さらに、上唇も一緒に下がりやすくなるため、口元から鼻先にかけての輪郭がぼやけた印象になってしまいます。
つまり、上唇鼻翼挙筋の衰えは、鼻だけでなく口元の印象まで一緒に老けさせてしまうのです。スッとした鼻筋を保つためには、この筋肉を眠らせず、しなやかに働かせ続けることが大切です。

②表情筋の使い方の偏り〜“使わなさすぎ”も“使いすぎ”も、鼻を広げる〜

表情筋は「使わないと衰える」とよく言われますが、実はもうひとつ見逃せないのが、“使い方のクセ”や“過剰な使い方”によって、かえって鼻の形を崩してしまうというケースです。表情筋は「使わないと衰える」だけでなく、「使いすぎ」や「使い方が偏ること」でも形に影響が出ます。

例えば、無表情が多い人は、小鼻周りの筋肉をほとんど使わないため、上唇鼻翼挙筋などの引き締め筋が衰え、鼻がぼやけた印象になってしまいます。

また、笑うときに口角だけを横に引いてしまうクセがあると、上唇鼻翼挙筋がうまく使われず、その代わりに小鼻の外側を広げる筋肉が働きやすくなります。

一方で、鼻を動かして笑う癖がある人や、日常的に鼻をピクピクさせる表情が多い人は、鼻の横の筋肉を繰り返し動かしすぎてしまい、小鼻が外側に引っ張られて膨らんでしまう原因になります。

つまり、「使わない」と「使いすぎる」の両方が

  • 小鼻が外側に引き広げられる
  • 鼻筋のラインがぼやける
  • 鼻先が丸く見える

といった、団子鼻の印象につながってしまうのです。

「どの筋肉をどのくらい、どう動かしているか」
――これを意識することが、鼻周りの筋肉バランスを整える第一歩です。

③姿勢の崩れ〜姿勢が鼻まわりの筋肉の働きを妨げる〜

「鼻の形と姿勢って関係あるの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、猫背や前傾姿勢を続けていると、顔が常に下方向に引っ張られ、表情筋の働きにも悪影響を与えます。特に上唇鼻翼挙筋は、頭部の重さと引力の影響を直接受けやすい位置にあるため、姿勢が崩れると本来の働きが発揮されにくくなります。

姿勢が崩れると

  • 小鼻が重力で広がる
  • 鼻先が垂れる
  • 上唇が落ちて間延びした印象に

といった変化は、姿勢の悪化と上唇鼻翼挙筋の機能低下によって、複合的に引き起こされているのです。

上唇鼻翼挙筋にダメージがあると起きること

上唇鼻翼挙筋は、ここまで説明した通り、小鼻を内側に引き締め、鼻筋を美しく保つうえで欠かせない“美鼻筋”です。
ところがこの筋肉に持続的な負荷やアンバランスな使い方が続くと、筋肉そのものの働きが弱まるだけでなく、周囲の組織に停滞が起こりやすくなります。

例えば

  • 姿勢が崩れて顔が下向きになる
  • 鼻で笑う癖で小鼻を過度に動かす
  • 左右どちらかの鼻呼吸が強い習慣がある

こうした状態が続くと、上唇鼻翼挙筋には常に不自然なテンション(引っ張り・縮み)がかかり、筋肉は硬くこわばって柔軟性を失います。

その結果

  • 血流やリンパの流れが滞る
  • 老廃物が排出されにくくなる
  • 脂肪が局所的に溜まりやすくなる
  • 小鼻のふくらみが定着し、団子鼻に見える

つまり、上唇鼻翼挙筋のダメージは、形だけでなく代謝の停滞という内的な問題にも直結しているのです。

停滞を流し、美鼻を取り戻すには?

大切なのは、ただ「動かす」「鍛える」だけではありません。
上唇鼻翼挙筋を“正しく・しなやかに”使うことによって、鼻周りの流れを取り戻すことが必要です。

ポイントは3つ

  • 姿勢を整えて、頭蓋骨を正しい位置に戻すこと
  • 無駄な力を入れないこと
  • 左右バランスを意識し、均等に使うこと

このように、上唇鼻翼挙筋に適切にアプローチすることで、

効果

  • 筋肉の柔軟性が戻る
  • 血流・リンパの循環が改善される
  • 老廃物や脂肪の停滞が流れていく

というポジティブな連鎖が生まれ、“広がってしまった小鼻”や“ぼやけた鼻先”が自然と引き締まっていきます。

団子鼻を解消するトレーニング

上唇鼻翼挙筋をしなやかに目覚めさせるためのトレーニングをご紹介します。
鼻先の印象を整えたい方、団子鼻を少しでもすっきり見せたい方に、ぜひ取り入れていただきたいメソッドです。

コアフェイスの作り方

① 骨盤ポジション
骨盤を立て、左右の坐骨を椅子に押し当てます。
② 背骨の意識
背骨を1つ1つ積み木のように立てながら、その上に頭蓋骨(頭)を乗せていきます。
③ 頭の位置
額とあごは床に対して90度です。首の後ろをのばし、頭を高い位置に引き上げます。
④ 呼吸
意識的に呼吸を繰り返しながら、顔、体、心のあらゆる緊張を外し、コアフェイスを細く長くしていきます。
⑤ さらにランクアップ!
余裕があれば、息を強く吐く時に腹圧をかけ、下腹部を絞り上げるようなイメージで行います。

フェイスストレッチ

① 口の形と位置
左右の口角を寄せて口をすぼめてから、鼻の下を伸ばします。
② 目線
② 目線を斜め75度に上げ、顔を上下に伸ばしながら、5秒キープします。
③繰り返し
①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

団子鼻=直すべきではない

団子鼻は、日々の表情や姿勢、筋肉の使い方によって変化する「後天的な要素」も多く含んでいます。つまり、正しいアプローチをすれば、今からでも改善は十分に可能です。

フェイスストレッチは、鼻の両脇のムダなお肉を伸ばすようなイメージでやってみてくださいね

けれど、だからといって「団子鼻=直すべき」とは限りません。丸みのある鼻は、やわらかく親しみやすい印象を与えるチャームポイントでもあります。

大切なのは、「どう見られたいか」ではなく、「自分がどう在りたいか」。

鼻の形に少しでもモヤモヤする気持ちがあるなら、今日から小さなケアを始めてみませんか?その一歩が、あなたらしい顔のヒントになるかもしれません。

MYメソッドアカデミー

「動きが合っているかわからない」「コアフェイスの作り方/フェイスストレッチが上手にできない」という方は、顔の学校「MYメソッドアカデミー」でご相談ください。

表情筋の状態や顔の使い方のクセにあわせて、さらに詳しいコツをお伝えしています。

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