
ふと鏡を見たとき、「なんだか顔が大きく見える」「フェイスラインが角ばってきたかも」と感じたことはありませんか?
顔の“エラ張り”は、生まれつきの骨格や遺伝の問題だと諦める方も多いのですが、実は骨格だけでなく、筋肉の使い方や生活習慣、無意識のクセなど、さまざまな要因が関係しています。
今回は、表情筋研究家としての視点から、エラ張りの原因とケア方法をご紹介します。
エラ張りとは?
「エラ張り」とは、顔の下の方、特にあごの両サイド(あごの付け根あたり)が外側に張り出して見えることを指します。
輪郭が四角く見えたり、顔全体が大きく見えたりすることから、見た目に悩む方も少なくありません。
エラ張りの原因
ではなぜ、エラ張りが起きるのでしょうか。
1. 咬筋(こうきん)の過剰な発達

顔のエラ部分にある「咬筋」は、食べ物を噛むときなどに使う筋肉です。
顔の使い方のクセや姿勢崩れなどによって無意識のうちに咬筋に負荷がかかることで過剰に発達し、外から見て盛り上がったようになります。
2. むくみ・脂肪の蓄積

加齢やホルモンバランスの変化、血行不良などにより、顔にむくみや脂肪がつきやすくなることも、エラ張りを目立たせる一因になります。
表情筋トレーニングによって顔の停滞を解消することで、改善を図ることができます。
3. 生まれ持った骨格

もともとの骨格がエラ張りに影響するケースもあります。
具体的には、下顎の骨の角度──「下顎角(かがくかく)」と呼ばれる部分──が広く外側に張り出しているタイプの方は、フェイスラインが角ばって見えやすくなります。
これは遺伝的な要因が強く、根本的な変化は難しい部分ではありますが、表情筋やむくみを整えることで見た目の印象は大きく変えられます。
咬筋について

エラ張りの原因として、特に注目すべきなのが「咬筋」です。
咬筋は、頬骨のあたりから下あご(下顎骨)にかけてついている、咀嚼筋(そしゃくきん)の一つで、ものを噛むときに主に働く筋肉です。
筋肉の中でも特に力が強く、硬いものを噛んだり、食いしばったりするときに大きな負荷がかかります。
この咬筋が過剰に使われると、筋繊維が太く肥大し、エラのあたりが外側にせり出すような形になっていきます。
見た目としては、顔の下半分が横に広がったり、角ばって見えたりする原因となるのです。
咬筋を負荷をかける習慣
咬筋はもともと食べ物を噛むために必要な筋肉ですが、日常生活のクセや習慣、ストレスなどによって、本来よりも強く・硬く・大きく育ってしまうことがあります。
咬筋に負荷をかける習慣には、以下のようなことがあります。
歯ぎしり・食いしばりのクセがある
無意識のうちに歯を強く噛みしめる「食いしばり」や、寝ている間の「歯ぎしり」は、咬筋に大きな負担をかけます。
長時間筋肉に力が入り続けることで、筋肉がどんどん鍛えられ、厚く大きく発達してしまいます。
気づかないうちに毎晩続いていることも多いため、朝起きたときにあごの疲れやこわばりを感じる方は要注意です。

咀嚼のクセや左右差
片方の歯ばかりで噛むクセがあると、使う側の咬筋ばかりが発達してしまいます。
すると、フェイスラインが左右非対称になったり、顔がゆがんで見えたりする原因に。
偏った筋肉の使い方は、見た目のバランスを崩すだけでなく、あごの動きや噛み合わせにも影響を与えます。
意識して左右均等に噛むことが、筋肉のバランスを整えるポイントです。

スマホやパソコン操作であごが前に突き出た姿勢
スマホやパソコンを長時間使うと、顔が前に出た姿勢になりやすく、あごの筋肉に余計な負担がかかります。
頭の重さを支えるために咬筋が無意識に緊張し、筋肉が硬くこわばりやすくなるのです。
この状態が続くと、咬筋が慢性的に緊張し、次第に発達してフェイスラインを広げてしまう原因になります。

頬杖をつくクセ
頬杖をつくと、顔の片側に体重がかかり、咬筋やあご周りの筋肉に一方的な圧力がかかります。
これが毎日のように続くと、筋肉が偏って発達したり、あごの位置がズレてしまったりすることも。
頬杖はついクセでやりがちですが、フェイスラインのゆがみや筋肉のアンバランスにつながるため、気づいたときにやめる習慣をつけることが大切です。

睡眠中に首や顔に歪みがかかっている
枕が合わなかったり、横向きで長時間寝たりすると、首や顔に歪みが生じ、あご周りの筋肉にも偏った負担がかかります。
この状態が繰り返されると、特定の筋肉に力が入り続け、咬筋の一部が過剰に発達してしまうことも。
寝ている間は無防備だからこそ、寝具の見直しや、顔や首に負担の少ない寝姿勢を意識することが大切です。

あごに力が入った笑い方や話し方
笑うときや話すときに、あごにギュッと力が入るクセがあると、咬筋が必要以上に緊張してしまいます。
本来、口を動かすときはあごや口周りの筋肉がバランスよく働くものですが、力を入れすぎると咬筋ばかりが負担を受けてしまうのです。
試しに、あごに軽く手を添えて、話をしたり、笑ったりしてみてください。
その際、あごの筋肉に力が入って、グッと下に引くような感覚がある場合は、咬筋に過剰な負荷がかかっているかもしれません。
あご周りの力を“抜く”意識を持つことが、咬筋の過剰な発達を防ぐカギになります。

ストレスや緊張時に奥歯を噛み締めている
咬筋は感情や表情と密接に関わる筋肉でもあります。
たとえば、緊張やストレスを感じているとき、奥歯を噛みしめていませんか?
このような“食いしばり”のクセは、日常生活の中で習慣化されていることが多く、咬筋に常に力が入った状態が続くと、筋肉はどんどん硬く、厚くなっていきます。
さらに、咬筋が硬くこわばると、周囲の表情筋の動きも妨げられ、顔全体の表情がこわばって見える原因にも。
これは見た目だけでなく、表情の印象、ひいてはコミュニケーションにも影響を及ぼす可能性があります。

咬筋への負荷を減らすトレーニング1
咬筋の緊張を防ぎ、フェイスラインをすっきり見せるには、姿勢を整えることがとても大切です。猫背や顔が前に出た姿勢は、あご周りの筋肉に余計な負担をかけてしまいます。
まずは、咬筋に無駄な負担をかけない姿勢を身につけましょう。
コアフェイスの作り方
- ① 骨盤ポジション
- 骨盤を立て、左右の坐骨を椅子に押し当てます。

- ② 背骨の意識
- 背骨を1つ1つ積み木のように立てながら、その上に頭蓋骨(頭)を乗せていきます。

- ③ 頭の位置
- 額とあごは床に対して90度です。首の後ろをのばし、頭を高い位置に引き上げます。

- ④ 呼吸
- 意識的に呼吸を繰り返しながら、顔、体、心のあらゆる緊張を外し、コアフェイスを細く長くしていきます。
- ⑤ さらにランクアップ!
- 余裕があれば、息を強く吐く時に腹圧をかけ、下腹部を絞り上げるようなイメージで行います。
咬筋への負荷を減らすトレーニング2
笑ったり、話したりするときに、口角や頬を持ち上げる筋肉「大頬骨筋」がうまく使えていないと、あご周りに無駄な力が入り、結果としてエラ張りの原因となります。大頬骨筋は、頬骨から口角につながる筋肉で、笑顔を作るときに大きく働きます。口角をキュッと引き上げる動きに関わり、顔全体をリフトアップしてくれる筋肉です。
この大頬骨筋がしっかり働いていると、頬が自然に上がり、咬筋に余計な負担がかかりにくくなります。逆に、大頬骨筋の力が弱いと、頬が下がって咬筋ばかりに力が入りやすくなり、エラ張りが目立ちやすくなるのです。
つまり、大頬骨筋を鍛えることで、咬筋が過剰に働くのを防ぎ、バランスの良いフェイスラインを作る助けになるのです。
大頬骨筋を鍛えて、“引き上げる”力をつけ、顔の下半身への負担を減らしていきましょう。
頬のVトレ
- ① 笑顔
- 目を大きく開き、上の歯を8本見せて笑います。

- ② 指で押し上げ
- 親指と人差し指を使い、エラの下から頬のお肉を下から持ち上げて、5秒キープします。

- ③ 手放し
- 手を外して、さらに5秒キープします。

- ④ 繰り返し
- ①〜③を1セットとして、これを3〜5セット行います。

頑張る方向を、正しい顔トレに
頑張り屋さんほど、知らないうちに食いしばりのクセがつきやすく、それがエラ張りにつながることがあります。
だからこそ、意識的に「力を抜く」「リラックスする」ことも必要です。

表情筋は「鍛えること」と同じくらい「緩めること」も大切なんです!
顔の学校MYメソッドアカデミーでも、日々の表情や顔の使い方を見直したことで、エラ張りが改善した生徒さんがたくさんいます。まずは無意識のクセに気づき、少しずつ正しい筋肉の使い方に整えていくこと。
それが、健やかなフェイスラインへの近道です。
MYメソッドアカデミー

「動きが合っているかわからない」「大頬骨筋の引き上げが難しい」という方は、顔の学校「MYメソッドアカデミー」でご相談ください。
表情筋の状態や顔の使い方のクセにあわせて、さらに詳しいコツをお伝えしています。