
鏡を見るたびに気になる「目の下のクマ」。メイクではなかなか隠れず、顔全体がどことなく疲れて見えてしまう……。
そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ままだよしこメソッドが2023年に実施した「顔と表情についてのアンケート」(回答数194名)においても、「表情についての悩み」(自由記述)として、「目の下にクマで体調が悪そうに見られる」「目を使う仕事のため、クマや目周りのシワ・たるみが人より多い気がする」といった声が寄せられました。
今回は、表情筋研究家としての視点を交えながら、クマの正体と効果的なケア方法を詳しくご紹介します。
クマの種類
そもそも「クマ」とは、目の下の皮膚が黒ずんだり、くすんだり、影になって見える状態のことをいいます。
一口にクマといっても、その原因や見え方はさまざまで、大きく分けて以下の3タイプに分類されます。
1. 青クマ

血行不良が原因で、目の下の皮膚から静脈の青い色が透けて見えている状態です。睡眠不足やストレス、冷えなどによって血流が滞ることで起こりやすくなります。
目の下を軽く引っ張ると色が薄くなるのが特徴です。
2. 茶クマ

色素沈着によって茶色く見えるクマです。紫外線の影響や、アイメイク・クレンジングによる摩擦などで皮膚にダメージが蓄積し、メラニンが沈着してしまうのが主な原因です。
目の下を引っ張っても色が変わらないのが特徴です。
3. 黒クマ

年齢とともに目の下の脂肪が減ったり、皮膚がたるんだりして影ができることで、黒っぽく見えるクマです。特にミドルエイジ以降の方に多く見られるタイプで、顔全体の立体感の変化が影響しています。影になっている部分なので、角度によって目立ち方が変わるのが特徴です。
睡眠をとったり、スキンケアを見直したり、クマの種類に合わせた対策を講じてもなかなか改善されず、悩みが深くなってしまう方も少なくありません。
その背景には、「眼輪筋(がんりんきん)」という表情筋の衰えが大きく関係しています。
クマと深い関係にある眼輪筋
私たちの顔には、左右合わせて約50の表情筋があります。その中の一つである「眼輪筋」と呼ばれる目の周りをぐるっと囲むドーナツ状の筋肉は、目元の印象を大きく左右する重要な存在です。
眼輪筋は、目を閉じる、まばたき、涙の排出、目元のハリ感の維持など、さまざまな働きを担っています。眼輪筋のサイズは、人によって異なりますが、直径にして4〜5cmほど。厚さは1〜2mm程度と非常に薄い筋肉です。
特に、下まぶた側の眼輪筋が衰えると、血液やリンパの流れが滞り、老廃物が溜まりやすくなり、クマの原因になります。また、眼輪筋の筋力が低下すると、目の周りの脂肪を支えきれなくなり、たるみや影が目立つようになります。

眼輪筋が衰えると…
1.血流が悪くなる
青クマができやすくなり、顔全体がどんよりした印象に
2.血行やリンパの流れが滞り、代謝(ターンオーバー)が低下する
メラニンが排出されず、色素沈着が進み、茶クマができやすくなる。
3.たるみが進行しやすくなる
目の下に影ができて黒クマが目立つように。
つまり、クマのタイプは違っても、「眼輪筋の衰えを防ぎ、目元の巡りを整える」ことが共通のケアとなります。
眼輪筋が衰える原因
1.加齢
それではなぜ、眼輪筋は衰えるのでしょうか。
原因の一つは加齢です。そこには加齢にともなう体や環境の変化が関係しています。

1.筋肉量・筋力の低下
年齢を重ねると、体全体の筋肉量が徐々に減少していきます。眼輪筋のような小さな筋肉も例外ではありません。筋肉がやせ細ることで、クマやたるみができやすくなります。
2.表情を変えて目元を動かす頻度が減る
子育てが一段落したり、仕事の人間関係が落ち着いてくると、以前より人と会う機会が少なくなることがあります。そうなると、表情を使ってコミュニケーションをとる場面も減り、目を大きく見開いたり、心から笑ったりすることが少なくなっていきます。このように表情をあまり動かさない生活が続くと、目元を支える眼輪筋やその他の表情筋が、だんだん使われなくなっていきます。
また、加齢によって表情筋そのものが衰えてくると、顔がこわばったり、動かしにくくなったりすることも。その結果、「笑おうとしても、顔がうまく動かない」「笑っているつもりでも、鏡を見るとあまり表情が出ていない」といったことが起こるのです。
表情筋を動かさない → 衰える → 動かしづらくなる→さらに衰える、という悪循環に陥ってしまいます。
3.皮膚の弾力低下にともなう筋肉の位置の低下
目元の皮膚はとても薄く、年齢とともにコラーゲンやエラスチンといった”ぷるるん成分”が減少すると、ハリや弾力を失ってしまいます。皮膚の土台となる筋肉が緩むと、支えきれなくなった皮膚や脂肪が下垂していきます。目の下のたるみやくぼみは影となり、クマが目立ちやすくなります。
4.血行・代謝の低下
加齢によって全身の血流や代謝も落ちてくるため、筋肉に届く酸素や栄養も不足しがちになります。
眼輪筋は特に細かくて血流の影響を受けやすいため、衰えやすい部位です。
5.目の疲労の蓄積
加齢とともに老眼や目の疲れが蓄積されていきます。
目を細めて見るクセがついたり、まばたきの回数が減ったりすることで、眼輪筋の動きが偏り、使われない部位が弱ってしまいます。
このように、加齢によって眼輪筋が衰えるのは自然なことです。だからといって「もう年だからと」諦める必要はありません。目元の筋肉である眼輪筋は、体の中でも“自分の意思で動かせる筋肉”のひとつです。
私たちは、「目を閉じよう」と意識すれば、眼輪筋を使ってまぶたを閉じることができますよね?
これは、腕や脚の筋肉と同様に、「使えば鍛えられる」性質を持っているということ。つまり眼輪筋は、年齢に関係なく何歳からでもトレーニングで活性化させることができる筋肉なのです。
2.スマホの長時間利用

近年は、若い世代でも眼輪筋の衰えが進んでいます。
その背景にあるのが、スマートフォンの長時間使用です。
・画面をじっと見つめて、まばたきの回数が減る
・目を大きく動かす機会が減る
・同じ表情や姿勢で長時間過ごす
実はこれ、目を閉じたりまばたきをする役割を担う眼輪筋にとって、“ほとんどお休みしている”状態。
通常1分間に15〜20回程度のまばたきをしているのに対し、スマホやパソコンの使用中は1分間に約5回と大幅に減少するといわれています。
こうした状態が毎日のように続くと、眼輪筋は徐々に衰え、目元の血流やリンパの流れが悪くなってしまうのです。
ですから、年齢に関係なく、スマホの利用時間が長い人は、眼輪筋が衰えやすいので要注意。
とはいえ、生活の必需品となったスマホをゼロにするのは難しいものです。
だからこそ、意識的に目元を動かす習慣を取り入れることが必要となります。
実はこんなことも…眼輪筋が衰える意外な原因
加齢やスマホの長時間利用のほかにも、ちょっとした習慣やライフスタイルが、眼輪筋に大きな影響を与えています。
1.表情のクセ

眼輪筋は、「笑う・驚く・細める」といった表情で使われる筋肉なので、目周りの表情が変わりにくいタイプの方は、眼輪筋の“サボりぐせ”が加速する傾向にあります。
2.睡眠の質の低下

睡眠が不足すると、目の周りの血流やリンパの流れが悪くなり、クマができやすくなるうえに、眼輪筋の回復も妨げられます。
3.目の使いすぎ

スマホだけでなく、パソコン作業や細かい文字を見る時間が長い方、あるいは車の運転などで目を集中して使いすぎる方も要注意。ピント調整や凝視が続くと、眼輪筋が緊張したまま固まり、停滞を招きます。
4.冷え・血行不良・乾燥肌

目元は皮膚がとても薄く、もともと血管が少ないため、血流の悪さがすぐに影響として出やすい場所です。
体の冷え(特に首や肩)や 目の周囲の乾燥は、眼輪筋の動きを鈍らせて、クマの悪化につながります。
クマを改善するには、眼輪筋を「使って、動かす」ことが大切
このように、年齢や生活習慣によって衰えやすい眼輪筋ですが、筋肉である以上、適切な方法でトレーニングをすれば、再び元気を取り戻すことができます。眼輪筋は、動かさなければ衰える、でも動かせば必ず応えてくれる筋肉です。
薄くて小さい分、とても繊細で、使わないとすぐに衰えやすいという特徴もあります。逆に言えば、日常的に意識して動かせば、筋肉の反応も比較的早く、数週間でも目元のハリや血流の改善を実感する方も多いのです。少しずつ動かす習慣をつければ、血流も代謝も回復し、クマの目立たない明るい目元を取り戻すことができますよ。
目の下のクマを改善するコアフェイストレーニング
ピクトレ下まぶた
- ① 準備
- 指の腹を下まぶたに軽く当てます。

- ② 動かし方
- 下まぶたをピクピクと10回上下に動かします。

- ③ 繰り返し
- ①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

はじめはピクピクと下まぶたを上下させる感覚がわかりづらいかもしれません。
すぐにわからなくても大丈夫。
まずは動かそうと意識することが大事です。
毎日トレーニングをしていると、どんどん下のまぶたが動きやすくなるので、それを信じてやってみてください。

私はこれを毎朝100回やっていますよ!
続けることで眼輪筋が引き締まり、涙袋にハリとツヤが出るのを感じることができます。
MYメソッドアカデミー

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