間々田 佳子

眉間のシワ

鏡を見て、ふと気づくと、眉間にシワができていることはありませんか?

このシワがあると、周りから「怒っている」「神経質」と誤解されることもしばしば。
そんな眉間のシワは、実は顔の使い方や生活習慣、表情のクセに大きく関係しています。

今回は、表情筋研究家の視点から、眉間にシワができる原因や対策を解説します。眉間のシワを改善するための方法を知ることで、より明るく、若々しい表情を取り戻す手助けになるはずです。

眉間のシワとは?

眉間のシワは、目と目の間、額の下部に現れる横または縦のシワで、特に感情の変化や顔の使い方に影響されやすい部位です。誰しもが一度は経験したことがある、あの「集中しているとき」や「考え込んでいるとき」に現れるシワ。そのため、眉間のシワは、感情や年齢を反映していると言われがちです。

しかし、実はそれだけではなく、顔の使い方や表情筋の動き方が大きく影響しているのです。

眉間のシワができるメカニズム

眉間に現れる縦ジワは、なぜできるのでしょうか?

その主な原因は、眉と眉の間にある「皺眉筋(しゅうびきん)」という筋肉の動きとクセにあります。

皺眉筋は、眉頭のすぐ下あたりに位置する小さな筋肉で、内側に向かって収縮する働きを持ちます。この筋肉が収縮すると、眉と眉が寄り、眉間に縦のシワが入ります。
まぶしいときに目を細めたり、心配ごとを考えているとき、集中して物を見ているときなどに、私たちは自然に皺眉筋を収縮させ、眉間に力を入れているのです。

問題なのは、この皺眉筋の動きが無意識のうちに、何度も繰り返されていることです。
表情筋は繰り返し使われることで「動きのクセ」がつき、筋肉のかたさや収縮パターンが定着していきます。
皺眉筋が日常的に緊張したままの状態が続くと、その上にある皮膚にも折れ目がつきやすくなり、筋肉のラインに沿って縦ジワが刻まれていくというわけです。

若いうちは、皺眉筋が収縮してシワができても、筋肉が緩めば皮膚も元に戻ります。
しかし、年齢を重ねるとともに、肌の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンといった“ぷるるん成分”が減少し、「戻る力(皮膚の回復力)」が弱まっていきます。

その結果、一時的だったはずのシワが、次第に“定着したシワ”へと変化していくのです。

つまり、

眉間にできるシワは

  1. 皺眉筋が頻繁に動く(表情のクセ)
  2. その動きが定着し、筋肉がこわばる
  3. 肌の弾力が落ち、シワが元に戻らなくなる

という3つの要素が重なって現れる現象です。

無意識の表情グセが、シワを深める

普段の何気ない顔の使い方が、眉間のシワを深くしてしまうことがあります。
以下のような生活習慣に心当たりがある方は、ぜひ見直しのきっかけにしてみてください。

1. 表情筋の使いすぎ・使い方の偏り

真剣な表情

表情筋は使えばよいというわけではなく、“使い方のバランス”がとても重要です。
一部の筋肉だけを強く使いすぎると、そこにばかり負担がかかり、緊張や癖が固定化してしまいます。

例えば、真剣な表情をするときに毎回眉間にグッと力が入る人は、皺眉筋(しゅうびきん)あたりが常に縮こまって硬くなりやすく、深いシワが刻まれていきます。

さらに、表情を作るときに目元をあまり動かさず、眉間ばかりが反応するなど、「顔の使い方のクセ」があると、筋肉の負担が偏りやすくなります。

2.スマートフォンやパソコンの長時間使用

長時間画面を見つめていると、無意識に眉間に力が入りやすくなります。目を細めたり、集中しすぎて眉を寄せる表情が続くと、しかめた状態のまま筋肉がクセづけられ、シワとして残りやすくなります。

3. 考えごと・ストレス・緊張の多い日常

悩みごとや不安、緊張が続くと、表情に出さないつもりでも眉間に自然と力が入ることが多くあります。「考え込むクセ」や「感情を顔に出さないクセ」は、知らず知らずのうちに筋肉を収縮させ、表情グセとして定着してしまいます。

4. 視力の低下や合わない眼鏡の放置

見えにくい状態で過ごしていると、目を細める、眉を寄せるといった動きが無意識に出てきます。このような反復動作が、眉間に不要な緊張をもたらし、常に同じ筋肉に負担がかかる状態になります。

5. 強い日差しやまぶしさに対する防御反応

外出時にサングラスを使わない、室内でも照明が強すぎるなどの環境では、目を細める動作が増え、眉間に力が入りやすくなります。このような光刺激への反応も、繰り返すことでシワの一因になります。

6. 無表情で過ごす時間が長い

意外かもしれませんが、無表情でいる時間が長いと、顔の筋肉が硬直しやすくなります。
緊張状態や無意識のくせで、眉間だけがうっすら緊張しているような表情が固定化されると、動かしていないつもりでもシワができやすくなるのです。

7. 睡眠中のクセ(食いしばり・寝顔のこわばり)

睡眠中、無意識に歯を食いしばったり、顔に力が入っている人も、顔の筋肉に慢性的な緊張が加わりやすい状態です。眉間にうっすらシワが寄ったまま眠っていると、それが「寝グセ」のように定着してしまうこともあります。

皺眉筋を緩めるトレーニング

眉間のシワは、皺眉筋の“無意識なクセ”が形になったもの。だからこそ、筋肉の動きに気づき、緩め、整えることで、シワの進行を防ぐことができます。

まずは眉間の緊張を緩める「チャクラリセット」をやってみましょう。

チャクラリセットのやり方

① 準備
指の腹を眉間に当て、目を軽く閉じます。
② 眉間マッサージ
鼻から息を吸って口から吐きながら、眉間をくるくると10秒ほどマッサージします。
③ 繰り返し
眉間・額・顔の緊張が緩み、リラックスできたと感じるまで、① 〜③ を繰り返します。

目の使い方も眉間のシワに影響

私たちは、言葉だけでなく「目元の表情」でも感情を伝えています。驚いたとき、何かに集中しているとき、相手に強く気持ちを伝えたいときなど、目を大きく見開く表情は日常の中でよく使われるものです。

このとき、目を開こうとして一緒に眉毛まで上げてしまうクセがある方は要注意。
眉毛を持ち上げる動作には、眉間の筋肉(皺眉筋や前頭筋)が関与しており、これを繰り返すと眉間に力が入りやすく、シワができやすくなるのです。

本来、目を開くときに主に使うべき筋肉は、まぶたを引き上げる「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」という筋肉です。
この筋肉をしっかり使えていれば、眉毛を動かさなくても目をしっかり開けるようになります。

つまり、目を開ける動作を眉で代用しているクセを見直し、「眉に頼らず目だけで開く」感覚を練習することが、眉間のシワを予防するひとつの鍵になるのです。

上眼瞼挙筋を鍛えるトレーニング

アイトレフロントのやり方

① 呼吸
あごを引き、首の後ろを天井にのばします。
額に手のひらを当て、鼻から息を吸い、吐きながら目を大きく開きます。目から息を出すイメージで、息を吐き切ります。
②  目を軽く開く
①を3回繰り返し、最後に目をギュッと閉じて軽く開きます。
③  セット繰り返し
②を1セットとして、これを1〜3セット行います。

表情を“抑える”のではなく“整える”

これまでお伝えしてきたように、眉間のシワは日々の表情のクセや筋肉の使い方によって生まれていくものです。
でも、眉を動かすこと自体が悪いわけではありません。

むしろ、眉毛が自然に動くことは、感情や人柄が表れる、あたたかいコミュニケーションの一部です。
驚いたとき、笑ったとき、真剣な気持ちを伝えるとき……そんな瞬間に動く眉毛は、あなたらしさそのものでもあります。

大切なのは、動かさないことではなく、筋肉の使い方に気づき、バランスよく整えていくこと。
必要以上に力を入れすぎず、同じ部分にばかり負担をかけないようにしていけば、シワは深くなりにくくなります。

まずは、日常の中で「少し力が入りすぎていないかな?」「目を開けるとき、眉を上げすぎていないかな?」と、やさしく自分の表情に目を向けてみてください。

鏡を見て、自分の目の開き方、眉毛の動かし方をチェックする習慣を!

表情を抑えるのではなく、整えていく。

その小さな意識の積み重ねが、自然でやわらかな印象を育ててくれます。
あなたらしい、豊かで魅力的な表情を大切にしながら、眉間ケアを楽しく続けていきましょう。

MYメソッドアカデミー

もし「どう整えたらいいか分からない」と感じたら、ぜひ顔の学校「MYメソッドアカデミー」へいらしてください。

専門的な視点で、あなたに合った表情の使い方を、一緒に見つけていきましょう。

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