間々田 佳子

ふと鏡を見たときや、不意に撮られた写真を見返したとき、自分の口元がへの字に下がっていて驚いた経験はありませんか?

多くの方が「口元のたるみは年齢のせい」と思い込みがちですが、実際にはそれだけが原因ではありません。

私自身、表情筋研究家として数多くの顔を観察してきて実感するのは、口元のたるみの大きな要因は日常の顔の使い方にあるということです。特に、口をぐるりと囲む口輪筋は顔全体の筋肉と放射線状につながっているため、ここが緩むと頬やフェイスラインまで連動して下がってしまいます。その結果、老けて見える印象が強くなってしまうのです。

逆にいえば、口輪筋を正しく使い、鍛える習慣を持つだけで、口元のたるみは改善可能です。口元が引き締まれば、頬やフェイスラインも自然に持ち上がり、顔全体の印象が若々しく整っていきます。年齢に関係なく、意識ひとつで未来の顔は変えられるのです。

今回は、表情筋研究家の立場から、口元のたるみの原因と具体的な改善方法について詳しく解説していきます。

口元がたるんだ状態とは?

ほうれい線

鏡をのぞいたときに、口角が下がっている、口周りの皮膚が緩んで縦のラインが目立つ、あるいは口角から顎にかけてマリオネットラインが刻まれている……。これらは「口元のたるみ」の典型的なサインです。

口元のたるみとは、単に皮膚が下がるだけではなく、土台となる口輪筋や周囲の表情筋の衰え、血流やリンパの滞り、姿勢や噛み癖などによる筋肉バランスの崩れが積み重なって起きる状態を指します。特に口輪筋は顔全体の筋肉と放射状につながっているため、ここが緩むと頬やフェイスラインまで影響が及び、全体がもたついて見えるのです。

口元は顔全体の印象を大きく左右する部位であり、少し口角が下がるだけでも「疲れて見える」「不機嫌そう」「老けた印象」に直結してしまいます。つまり、口元のたるみは加齢だけでなく、日常の顔の使い方や生活習慣の影響が大きく、意識してケアを取り入れるかどうかで未来の印象が大きく変わってくるのです。

口元がたるむ原因

口輪筋の衰え

口輪筋は唇をすぼめたり閉じたりする筋肉です。使わないとすぐに弱くなり、口角が下がりやすくなります。特に歩いている時やリラックスしている時に口がぽかんと開いてしまう方は要注意。無意識の“口元の緩み”が、たるみの始まりです。

姿勢の崩れ

猫背やスマホ首の姿勢では、あごが前に出て首の前側の筋肉(広頚筋など)が引っ張られ、口元の位置も下がってしまいます。体の姿勢は顔の姿勢に直結しているのです。

無表情の時間が長い

現代人はパソコンやスマホに集中する時間が多く、無表情で口元を動かさない時間が増えています。その結果、口輪筋や口角挙筋が運動不足になり、支える力が失われていきます。

加齢と皮膚の弾力低下

もちろん加齢による皮膚のハリ低下や脂肪の下垂も要因ですが、筋肉がしっかり働いていれば進行を大幅に遅らせることができます。

口元がたるみやすい人の特徴と生活習慣

1. 歩いているときに口が半開きになっている

無意識の口の開きは、口輪筋が弱くなっているサインです。常に口が緩んでいる状態では、顔全体を引き締める力が低下し、頬やフェイスラインが重力に負けて下がりやすくなります。

2. 会話が少なく、口を動かす時間が短い

現代人はリモートワークやスマホの利用で、会話量が昔より減っているといわれます。口を動かさない生活は、筋肉を「使わない=衰える」方向に導き、口元に力が入りにくくなります。その結果、口角が下がり、老けて見える印象を与えてしまいます。

3. 食いしばりや口周りの緊張が強い

逆に、口を使わないのではなく「力みすぎ」も問題です。常に食いしばっていたり、口元に余計な緊張があると、口輪筋や咬筋が硬直し、頬の自然な動きが妨げられます。これにより、口角を下にグッと引くクセがついたり、マリオネットラインが強調されやすくなります。

4. 姿勢の悪さ(特に前傾姿勢)

猫背やスマホ首の状態では、顎が前に出やすく、首や広頚筋に過剰な緊張がかかります。この状態が続くと、口元の筋肉が緩んで下方向に引かれ、たるみを助長してしまいます。

5. 柔らかいもの中心の食生活

硬いものを噛む機会が少ないと、口輪筋や頬筋の刺激が不足します。噛む力が弱まることで、口周りの筋肉も自然と衰え、口元が緩みやすくなります。

6. 呼吸のクセ(口呼吸)

鼻呼吸ではなく口呼吸が習慣になっている人は、常に口が開いた状態になりやすく、口輪筋の筋力低下を招きます。これも口元のたるみの大きな要因です。

カギを握る「口輪筋」の存在

口輪筋(こうりんきん)は、唇のまわりをぐるりと囲むように配置されたドーナツ状の筋肉です。上下の唇を閉じたり、すぼめたり、発音をしたりと、日常のあらゆる動きに関わる非常に重要な筋肉です。普段はあまり意識されませんが、食事・会話・表情づくりにおいて常に働いており、「顔の中心を司る筋肉」と言っても過言ではありません。

口輪筋の最大の特徴は、周囲の表情筋が放射線状に口輪筋へとつながっていることです。頬を引き上げる大頬骨筋や頬筋、鼻の動きに関わる上唇鼻翼挙筋、口角を動かす口角挙筋・口角下制筋など、多くの筋肉が口輪筋を起点に走行しています。つまり、口輪筋は顔全体の表情筋の“ハブ”のような存在であり、ここが緩むと周囲の筋肉も連鎖的に緩んでいってしまいます。

口輪筋が衰えるとどうなる?

口輪筋が衰えると、最初に現れるのは口元のゆるみです。口が半開きの状態が増え、自然と口呼吸になりやすくなります。その結果、口腔内の乾燥、口臭、さらには唇の血色不良といった不調が起こりやすくなります。

しかし問題はそれだけにとどまりません。口輪筋は顔全体をぐるりと囲む中心の筋肉であり、放射線状につながる多くの表情筋を支える“要”の存在です。ここが弱まると、支えを失った周囲の筋肉が下方向へと引っ張られ、頬やフェイスラインが一気にたるみやすくなります。その結果、口角の下がり、ほうれい線やマリオネットラインの深まりといった「老け顔」のサインが目立ちやすくなってしまうのです。

つまり、口輪筋がうまく機能していないと、口元だけでなく顔全体にたるみが波及してしまうのです。逆にいえば、口輪筋を意識してしっかり鍛えることで、顔の中心から支えが整い、口元を含む全体のリフトアップへとつながります。若々しい印象を取り戻すためには、この小さな筋肉へのアプローチこそが大きなカギとなるのです。

「ウートレ」で口元のたるみ改善

口輪筋を鍛える方法は様々ありますが、今回は、誰でも簡単に口輪筋を鍛えることができるトレーニング「ウートレ」を紹介します。

① 唇をすぼめて突き出す
人差し指を頬に当てて後ろに引き、少し頬を外に開きます。唇をすぼめて前に突き出し、5秒キープします。
② キープ
指を外して、さらに5秒キープします。
③ 繰り返し
①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

頬に当てた指は、耳の方向へ少し引いてみましょう。その抵抗に逆らうように、唇をゆっくり前へ突き出します。

このとき注意したいのは、あごが前に突き出たり、首の後ろが縮んでしまわないこと。首の後ろを長く伸ばし、姿勢をしっかりキープしたまま行いましょう。唇だけを顔から遠ざけていくようなイメージで動かすと、効果的にトレーニングできます。

「口をすぼめる」小さな習慣が顔を変えていく

口元のたるみは「年齢だから仕方ない」ものではありません。
たしかに加齢により筋肉や皮膚の弾力は低下しますが、口輪筋を中心とした表情筋を正しく鍛えることで、その影響を大きく軽減することができます。口輪筋は顔全体の筋肉に放射状につながる“ハブ”のような存在。ここを意識して使うことで、歩いている時も、話している時も、自然と口角が上がり、顔全体が若々しい印象へと変わっていきます。

口輪筋を意識することで、頬もフェイスラインも上向きに!

改善の第一歩は、日常の小さな意識づけです。

たとえば「歩くときに口をすぼめる」「無意識に口が半開きになっていないか確認する」。このようなシンプルな習慣でも、数週間続けると表情の印象が変わり始めます。口角が少し引き上がるだけで、「明るい」「健康的」「親しみやすい」といった印象がプラスされるのです。

顔は年齢を映す鏡であると同時に、“日々の使い方”を映し出す鏡でもあります。たとえ年齢を重ねていても、筋肉の使い方を意識的に変えることで、顔は必ず変わります。だからこそ、「私はもう遅い」と思う必要はまったくありません。

MYメソッドアカデミー

私が主宰する顔の学校「 MYメソッドアカデミー」では、口輪筋を含めた表情筋の正しい使い方を基礎から学び、実生活の中で自然に活かせるトレーニングを提供しています。初心者の方も大歓迎。むしろ今まで顔を動かしていなかった方ほど、少しの意識とトレーニングで劇的に変化が現れやすいのです。

今日から一緒に、口輪筋を意識したトレーニングで、口元から未来の印象を変えていきましょう。

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