
「最近、目元や口元のシワが気になってきた……」
そんなお悩みをよく耳にします。
年齢を重ねると仕方がないと思っていませんか? 実はシワは、表情のクセや顔の使い方が原因になっていることが多いのです。
このコラムでは、表情筋研究家の視点から、「顔のシワができる本当の理由」と「今日からできる改善のヒント」をわかりやすくお伝えします。
そもそもシワとは?
シワとは、皮膚にできる“折れ線”のようなものです。肌の表面にある表皮と、その奥にある真皮(しんぴ)という層が関係しています。
肌が乾燥したり、ハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンが減ってしまうと、肌が元に戻りにくくなり、線が残ってしまいます。これが“シワ”として定着するのです。
ですが、こうした「肌の老化」だけがシワの原因ではありません。日々の表情や、筋肉の動かし方のクセが、大きく影響しているのです。
シワができる原因は?
シワの原因には、さまざまな要素が関わっています。ここでは、主な5つをご紹介します。
1. 乾燥(うるおい不足)

肌のうるおいが不足すると、表面のキメが乱れ、細かいシワができやすくなります。特に、目元や口元など皮膚が薄い部分は乾燥の影響を受けやすく、ちりめんジワと呼ばれる細かい線が現れます。
また、乾燥状態が続くと肌のバリア機能も低下し、外的刺激や表情の動きの影響を受けやすくなるため、シワが深く刻まれやすくなってしまうのです。
2. 加齢(肌の老化)

年齢を重ねると、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった成分が少しずつ減っていきます。その結果、肌は乾燥しやすくなり、元の形に戻る“力”が弱まって、表情の動きによる折れ目が残りやすくなります。
つまり、年齢とともに肌の「回復力」が落ちてくるため、シワが定着しやすくなるのです。
3. 表情のクセ

無意識に繰り返している表情も、シワの大きな原因になります。たとえば、しかめっ面、眉を上げるクセ、片側だけの笑顔など、特定の動きを続けていると、その部分の皮膚にだけ負担がかかり、シワの“跡”がつきやすくなります。
4. 顔の使い方の偏り

私たちは毎日、知らず知らずのうちに偏った顔の使い方をしています。スマートフォンを見る時に下を向きがちだったり、片方だけで噛むクセがあったり、無表情で過ごす時間が長かったり…。こうした習慣が筋肉の動きを偏らせ、シワやたるみの原因になってしまいます。
5. 顔の“運動不足”

現代人にとても多いのが、顔の筋肉をしっかり使っていないこと。マスク生活やオンライン中心の暮らしで、表情を動かす機会が減っています。顔の筋肉を使わないと、血流やリンパの流れが滞り、むくみやたるみにつながります。そして、それがやがてシワへと変わっていくのです。
シワの3タイプ
シワとひとことで言っても種類はさまざまです。ここでは、シワができる原因別に、3つのタイプに分けて特徴を紹介します。
① 乾燥によってできる浅いシワ ―「ちりめんジワ」

特徴
- 目元や口元など皮膚が薄いところにできやすい
- 浅くて細かい線状のシワ
- ファンデーションが溝に入り込んで目立つことも
原因
肌の水分不足によって、表面のキメが乱れ、細かい線のようなシワが現れます。加齢や季節的な乾燥だけでなく、洗顔のしすぎや保湿不足、空調などの影響も。
② 加齢によって刻まれる深いシワ ―「真皮ジワ」

特徴
- 額やほうれい線、目尻などにできやすい
- 深く刻まれ、表情を変えても残る
- 年齢とともに気になりやすい
原因
肌の“土台”である真皮層のコラーゲンやエラスチンといった“ぷるるん成分”の減少により、弾力やハリが失われてしまいます。その結果、皮膚を支える力が弱まり、たるみや折れクセとしてシワが深く刻まれるのです。
③ 表情のクセや筋肉の使い方からできる ―「表情ジワ」

特徴
- 笑ったり眉をひそめたりしたときに出る
- 最初は一時的でも、繰り返すうちに跡が残るようになる
- 表情のクセがある人に多い
原因
同じ表情を何度も繰り返すことで、皮膚に折れ目ができ、そのまま定着してしまうのが表情ジワ。特に、筋肉の使い方に偏りがあると、一部に負担がかかってシワができやすくなります。
見逃されやすい表情ジワ
鏡を見て、目尻や口元にシワを見つけたとき、「年齢のせいかな」「最近乾燥してるからかも」と思う方が多いのではないでしょうか?
実際、シワはすべて年齢や乾燥が原因だと思い込んでしまう方がとても多いのです。
その理由のひとつは、表情ジワも“時間とともに定着して深くなる”ため、加齢による変化のように見えてしまうこと。
また、乾燥によって肌表面のキメが乱れると、表情ジワがより目立つようになり、乾燥ジワと混同されやすくなります。
さらに、表情ジワは最初は笑ったときやしゃべったときにしか出ない「一時的な線」として現れるため、見逃してしまいやすいという特徴もあります。
気づかないまま何年も同じ表情グセを繰り返しているうちに、肌に“折れグセ”がついてしまい、気づいたときには「これは年齢のせい」と思い込んでしまうことが多いのです。
でも、表情ジワの正体は「筋肉の動かし方のクセ」。
つまり、筋肉を正しく動かす意識を持つことで、改善できる可能性が高いタイプのシワなのです。
シワができやすい“筋肉の動かし方のクセ”とは?
表情ジワの原因となるのは、実は“何気ないクセ”の積み重ねです。私たちは日々、無意識のうちに特定の筋肉ばかりを使って表情を作っていることが多く、これが顔の筋肉の偏りや折れグセ、そしてシワにつながっていきます。
こんな表情のクセ、ありませんか?
以下のような表情のクセがあると、特定の部位にシワができやすくなります。
- 眉をひそめるクセがある人
→ おでこや眉間にシワができやすくなります(いわゆる“考えグセ”シワ) - 目を細めて見るクセがある人(視力が合っていない、光をまぶしく感じやすい)
→ 目尻や目の下に細かい表情ジワができやすくなります - 話すとき、片側だけで口を動かすクセがある人
→ ほうれい線が片側だけ深くなったり、口角の左右差が目立ちやすくなります - 笑うときに口元だけで笑い、目元が動かない人
→ 目まわりの筋肉が衰え、たるみやクマ、くぼみが進行しやすくなります - 無意識に口をすぼめたり、唇を突き出すクセがある人
→ 口まわりに梅干しジワ(あごのシワ)や縦ジワが出やすくなります
顔の筋肉が偏る“日常の習慣”にも注意
表情だけでなく、日常の動作や姿勢も顔の筋肉のバランスを崩す原因になります。
例えば
- スマートフォンを長時間見ている(下向き姿勢)
→ 首が前に出て、あごやフェイスラインがたるみやすくなり、二重あごやマリオネットラインの原因に - 食事のとき、片側だけで噛むクセがある
→ 頬や口まわりの筋肉に左右差が生まれ、表情のゆがみや片側だけのほうれい線が定着しやすくなります - 無表情のまま過ごす時間が多い
→ 顔の筋肉がほとんど使われず、全体的に筋力が落ちてたるみやシワの進行につながります
表情ジワを改善するトレーニング
今回は、表情グセをリセットしてシワを改善する簡単なトレーニングを紹介します。
意識する筋肉は「眼輪筋」と「口輪筋」です。
眼輪筋(目のまわり)と口輪筋(口のまわり)は、それぞれ円を描くように存在しているドーナツ状の筋肉です。

「フェイスシェイク」では、“3つのドーナツ”をしっかり動かすことで、表情ジワの原因となるクセをリセットしていくトレーニングです。
フェイスシェイクのやり方
① 閉じる- 鼻から息を吸い、吐きながら、目と口をそれぞれキュッと閉じます。

- ②開く
- 目と口をパッと開きます。

- ③ 繰り返し
- ①〜②を3回1セットとして、3〜5セット行います。

顔の運動不足解消が表情ジワ改善の第一歩
シワは年齢のせいだけではありません。
毎日の“表情の使い方”が、知らないうちにシワをつくっていることも多いのです。
逆にいえば、 顔の使い方を意識して変えていけば、シワは今からでも改善できるということ。

表情ジワは、筋肉の動かし方ひとつで印象がガラッと変わりますよ!
まずは、顔の運動不足を解消することこそが、表情ジワ改善への第一歩。
ふだん使えていない筋肉をしっかり動かしてあげるだけで、表情筋のバランスが整っていきます。そして、表情にハリが戻り、シワの目立ちにくい顔づくりが始まります。
特別なことをしなくても、毎日の中で“表情筋を意識して使う”ことが、いちばんの近道。
今日から少しずつ、顔の筋肉を目覚めさせてあげましょう。
MYメソッドアカデミー

表情筋の正しい鍛え方がわからない方は、「顔の学校 MYメソッドアカデミー」へ。
経験豊富なインストラクターが、あなたの顔や生活習慣に合った方法を丁寧にお伝えします。