間々田 佳子

「疲れて見える」「老けた印象が出てきた」
そんな悩みの原因のひとつが、目の下から頬にかけて斜めに走る“ゴルゴライン”です。

このラインは、顔の中でもとても微妙な位置に現れるため、本人にとっては強く気になるものの、他人から見ると「なんとなく疲れてるのかな?」程度の印象として映ります。
つまり、ゴルゴラインそのものが悪いわけではありません。
問題なのは、そのラインが生まれる背景に「筋肉の使い方の偏り」や「停滞」があることなのです。

表情筋研究家の立場から言えば、ゴルゴラインは“老化現象”ではなく、“表情のバランスの乱れ”によって生じる現象です。
正しい筋肉の使い方を取り戻せば、誰でも改善できる可能性があります。

ゴルゴラインとは?

ゴルゴラインとは、目頭の少し下あたりから斜め下に向かって頬の中央を通る、うっすらとした影や線のこと。
漫画『ゴルゴ13』の主人公・デューク東郷の顔に深く刻まれた線に似ていることから、この名前で呼ばれるようになりました。

位置的には、涙袋のすぐ下から頬の中央にかけて斜めに伸びる溝であり、ほうれい線の上部に重なるように見えることもあります。

この線が現れると、顔が疲れて見えたり、老けた印象を与えやすくなります。
しかし、これは単なる「シワ」ではなく、頬の筋肉と脂肪のバランスの崩れによってできる“影”なのです。

ゴルゴラインができる原因

表情筋の観点から見ると、ゴルゴラインは「顔の上半分(目のまわり)」と「中下部(頬)」をつなぐ筋肉のバランスが崩れることで生まれます。
つまり、顔全体の中でどこかの筋肉ばかりが働き、別の筋肉が休んでいる——そんな“使い方の偏り”が、頬の流れやハリを失わせ、影を生み出してしまうのです。

ここでは、特に関係の深い2つの要因を紹介します。

1. 表情筋の運動不足とバランスの偏り

長時間のスマホやパソコン作業、無表情で過ごす時間が多い生活習慣は、顔の筋肉を動かす機会を極端に減らします。
その結果、顔全体の筋肉が部分的に硬くなったり、逆に緩みすぎたりして、筋肉のバランスが崩れます。

本来、顔の筋肉は目元から頬、口元までが連動して働くことで、血流やリンパの流れをスムーズに保っています。
しかし、この連動が乱れると、頬の上部に“動かないエリア”が生まれ、皮膚と脂肪の境目に影(ゴルゴライン)ができやすくなるのです。

この“表情の滞り”は、年齢だけでなく、姿勢や生活リズムの影響でも起こります。
つまり、ゴルゴラインは「加齢現象」ではなく、「筋肉の使われ方の結果」とも言えるのです。

2. 上唇鼻翼挙筋のこわばり

ゴルゴラインの起点となるのが、小鼻の横に位置する上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)です。
この筋肉は、小鼻の横から上唇へ向かって走り、笑ったときに鼻の脇を引き上げる働きをします。

ところが、無意識に小鼻に力を入れるクセがある人や、あまり表情を動かさない人は、この筋肉がこわばって硬くなりがち。
すると、筋肉の下にある皮下組織の動きが鈍くなり、血流やリンパの滞りによって小鼻まわりに“影”が残りやすくなるのです。

この影が頬に向かって伸びて見えるのが、いわゆるゴルゴラインの始まり。
さらに加齢によって筋肉の柔軟性が低下すると、小鼻の動きが鈍くなり、顔の中心部分が沈んだような印象になります。

3. 頬の支えである大頬骨筋の衰え

そして、ゴルゴラインを深く見せてしまう最大の要因が、大頬骨筋(だいきょうこつきん)の機能低下です。
この筋肉は頬骨から口角に向かって斜めに走る“笑顔の支柱”であり、頬を上方向に引き上げる働きを持っています。

大頬骨筋がしっかり働いていると、頬の位置が高く保たれ、ゴルゴラインができる余地がなくなります。
しかし、表情が乏しい、笑うときに口角だけを横に引く、といった習慣が続くと、
この筋肉が眠ったままになり、頬の位置が少しずつ下がってしまいます。

頬の支えが弱くなると、目の下と頬の境目に“段差”ができ、そこに影が落ちてゴルゴラインとして現れるのです。

ゴルゴラインができやすい人の特徴

ゴルゴラインは、単に年齢を重ねたからできるものではありません。
むしろ、日常の何気ないクセや生活習慣が、筋肉の使われ方に偏りを生み出しているケースがほとんどです。
つまり、「ゴルゴラインができやすい人」には、共通する顔の使い方の傾向があります。

1. 無表情で過ごす時間が長い人

表情筋は動かすことで血流やリンパを流す“ポンプ”のような役割を果たしています。
ところが、マスク生活や在宅ワークの影響で、話す・笑うといった動作が減ると、顔全体の筋肉が休眠状態に。
特に頬まわりの筋肉が動かないと、顔の中央部(目の下〜小鼻横)が動きにくくなり、停滞が生じやすくなります。
この滞りこそが、ゴルゴラインの影を濃くする要因のひとつです。

2. うつむき姿勢・スマホ時間が長い人

スマホやパソコンを見る時間が長く、常に下を向いている姿勢も大きな原因です。
頭が前に出る姿勢は、首から顔全体を下方向に引っ張るため、重力に対抗して頬を支える大頬骨筋が働きにくくなります。

その結果、頬が下に流れ、目の下と頬の間に“境界線”ができやすくなるのです。
また、画面を集中して見つめることで瞬きが減り、目元の周囲の筋肉も硬くなりがち。
顔全体の動きが制限されることで、筋肉バランスの偏りがさらに強まります。

3. 片側だけで噛む・片方の頬だけ動かすクセがある人

食事のときに片側だけで噛む、笑うときに片方の口角だけ上がる、そんな小さなクセも、左右の表情筋のアンバランスを生み出します。

片側だけの筋肉が優位になると、反対側の筋肉が衰え、頬の高さや張りに差が出て、片側にゴルゴラインが目立ちやすくなるのです。

これは日常的な積み重ねによって無意識に起こるものですが、意識的にバランスを整えることで十分に改善可能です。

4. 表情の癖が偏っている人

驚いたり笑ったりするときに、眉や目を強く動かすタイプの人は、顔の上半分(特に目のまわり)ばかりが緊張し、頬の動きが少なくなります。

反対に、感情を抑えるタイプの人や人前で表情を控えめにする人は、顔全体が硬くなり、動かないまま時間が経過してしまいます。

このような表情の偏りは、筋肉の使われ方に差を生み、頬の中央に“動かないゾーン”を作ってしまうのです。

鍵を握る「上唇鼻翼挙筋」と「大頬骨筋」

ゴルゴラインを解消するうえで特に重要なのが、顔の中心部から頬を斜め上に引き上げる 上唇鼻翼挙筋 大頬骨筋の2つです。
この2つの筋肉は、ちょうどゴルゴラインの走る位置に重なるように配置されており、どちらも“頬の高さ”と“顔の立体感”を決める要となる存在です。

<上唇鼻翼挙筋>

上唇鼻翼挙筋は、小鼻の横から上唇の中心へ向かって縦に走る、細く長い筋肉です。
主な働きは、上唇を引き上げることと、小鼻を上方向に動かすこと。
表情の中では「笑う」「驚く」「息を吸う」といった動きで活躍します。

この筋肉は顔の中央に位置しており、血流やリンパの通り道としても重要です。
しかし、ここが硬くこわばると、小鼻の横が沈み込み、ゴルゴラインの起点となる“へこみ”が強調される傾向があります。

逆に、上唇鼻翼挙筋を柔軟に保つことで、小鼻まわりの停滞が解消され、顔の中心に“ふっくらとしたハリ”が戻ります。
その結果、ゴルゴラインの始まり部分が明るくなり、顔全体の印象も若々しく見えるのです。

<大頬骨筋>

大頬骨筋は、頬骨から口角に向かって斜め下に走る筋肉で、笑顔をつくるときに頬を上へ引き上げる役割を持ちます。
構造的には、頬の脂肪を上に支える“吊り上げベルト”のような存在であり、ここがしっかり働いているかどうかで、頬の位置が大きく変わります。

大頬骨筋が衰えると、頬全体が下がり、目の下と頬の境界に“谷”が生じてゴルゴラインが深くなります。
反対に、この筋肉をしっかり使えるようになると、頬の中央に自然な高さと丸みが生まれ、ゴルゴラインが物理的に引き上げられて目立たなくなるのです。

なぜこの2つを動かすとゴルゴラインが解消されるのか

上唇鼻翼挙筋と大頬骨筋は、位置的に“縦”と“斜め”のラインを作る筋肉です。

この2つが正しく働くことで

  • 小鼻の横〜頬中央の血流が改善され、停滞による影が薄くなる
  • 頬の支えが上方向に復活し、下垂した脂肪や皮膚を持ち上げる
  • 顔の中心に高さが戻り、自然な陰影が生まれる

というように、構造的にも印象的にもゴルゴラインを薄く見せる作用が生まれます。

つまり、頬の中でも“支柱”のような役割を果たすこの2つの筋肉を整えることが、ゴルゴライン改善の最短ルートなのです。

「頬サークル」でバランスよく動かす

この2つの筋肉をバランスよく動かすためにおすすめのトレーニングが「頬サークル」です。

「頬サークル」は、頬を円を描くように動かすことで、上唇鼻翼挙筋をほぐしつつ、大頬骨筋を自然に引き上げていくトレーニング。
小鼻の横の滞りを解消しながら、頬の高さと立体感を取り戻すことができます。

① 口は「う」の形
① 人差し指を頬(ほうれい線の上、小鼻の横)に当て、口は「う」の形にします。
② 鼻の下を伸ばす
② ほうれい線を消すように、鼻の下を伸ばします。
③ 頬を外側に移動
③ ほうれい線を伸ばしながら、頬を外側に移動します。
④ 頬を上げる
④ 頬を高いところまで持ち上げます。
⑤ 繰り返し
⑤ ① 〜④ を1セットとして、これを3〜5セット行います。

口先だけの動きにならないように注意しましょう。
頬に当てた指で、頬全体が円を描くように動いているかを確認しながら行ってください。
小鼻の横から頬にかけて、老廃物を流すようなイメージでじっくり丁寧に動かすのがポイントです。

表情筋を動かせば、ゴルゴラインは変えられる

ゴルゴラインのケアは、単なる“シワ対策”や“見た目の若返り”ではありません。
顔の奥にある表情筋を動かすことで、血流やリンパの巡りが高まり、肌本来のツヤや弾力が戻ってきます。
さらに、頬が上がることで光の当たり方が変わり、顔の印象全体が明るくなります。

つまり、ゴルゴラインを整えるということは、「顔の印象を再設計する」ことなのです。
年齢や骨格に関係なく、表情筋の使い方を変えるだけで、誰でも少しずつ変化を感じられます。

ゴルゴラインは、顔が「動かして」と教えてくれているサイン

特に、小鼻の横を引き上げる上唇鼻翼挙筋と、頬を支える大頬骨筋をしなやかに動かすこと。
たったそれだけで、滞りが流れ、頬にハリと高さが戻り、目の下の影はふんわりと明るさを取り戻していきます。

そして何より大切なのは、「顔を動かして変化していく自分を楽しむこと」。
鏡の中の表情が少しずつ上向いていく感覚は、年齢を重ねたからこそ味わえる喜びです。
焦らず、やさしく、自分の顔と向き合ってみてください。

表情筋を動かすことで、顔は巡りを取り戻し、ゴルゴラインは確実に薄くしていくことができます。
変わりたいという意識が、すでに変化の第一歩なのです。

MYメソッドアカデミー

顔の学校「MYメソッドアカデミー」では、上唇鼻翼挙筋や大頬骨筋をはじめ、ゴルゴラインの改善に必要な表情筋の使い方を、専門家の視点で丁寧にお伝えしています。
自己流では難しいポイントも、プロの指導で“効かせる感覚”を体得することができます。

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そんな方は、ぜひ一度、直接指導が受けられる顔の学校へ。
表情筋を正しく動かす力が身につけば、顔の印象は必ず変わります。

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