間々田 佳子

ポカンと開いた口

「いつの間にか口が開いてしまう」
「意識して閉じていないと、口がポカンとしてしまう」
「子どもの頃からクセで…もう治らないのかもしれない」

この“ポカン口”は、決して珍しいものではなく、大人にも子どもにも見られる非常に多い表情のクセです。

一般的には「口呼吸が原因」「舌の位置の問題」などが語られがちですが、表情筋研究家として強調したいのは、「顔の運動不足によって筋力が衰えている」という視点です。

口が自然に閉まらないという状態は、口を閉じる“筋力”と、口周り・頬の“支える力”が不足しているサインです。つまり、鍛えることで改善が可能です。

本コラムでは、ポカン口の構造を整理し、表情筋から改善するための具体的な方法を解説していきます。

ポカン口とはどんな状態か

ポカン口とは、無意識のときに上下の唇が軽く開いてしまい、口が半開きの状態になること。

具体的には、

  • 上下の唇にわずかな隙間がある
  • 口を閉じるのが疲れる
  • 閉じてもすぐに開いてしまう
  • 唇が乾燥しやすい
  • 鼻呼吸が維持しにくい

といった特徴があります。

ポカン口が与える見た目印象

ポカン口は“見た目”の印象にも大きく影響します。

  • ぼんやりした、幼い印象に見える
  • 輪郭が緩みやすく、顔が下がって見える
  • 口角が下がり、疲れた表情に見える
  • 無表情に見えやすく、やる気がなさそうに見られる
  • 写真で口元が締まらず、だらしない印象になる

特に、口元は顔の中でも表情の印象を大きく左右するパーツ。
口が開いた状態が続くと、顔全体が下方向へ引っ張られて見えるため、 “間延びした顔立ち”に見られやすいのも特徴です。

見た目だけでなく機能面にも影響する

ポカン口は外見だけの悩みではなく、呼吸、姿勢、筋肉の発達にも関わる身体のサインです。

機能面で起きやすいデメリットには以下のようなものがあります。

  • 口呼吸になりやすく、呼吸が浅くなる
    →鼻呼吸に比べて、空気の取り込み量が減り、疲れやすい体質につながる。
  • 口腔内が乾燥しやすく、ウイルスや細菌が侵入しやすくなる
    →本来、鼻で行われるべき加湿・浄化機能が働かない。
  • 虫歯・歯周病のリスクが上がる
    →乾燥により唾液が減り、口の中の自浄作用が低下する。
  • 舌の位置が下がり、飲み込みや発音が不安定になる
    →舌が本来のポジションで働かず、発声に力みが出やすい。
  • 姿勢が乱れ、あごが前に出やすい
    →口が開くと下あごが下がり、頭部が前方へ。猫背や肩こりの原因になる。
  • 頬や口周りの筋肉が正しく使われない
    →咀嚼力の低下、顔の左右差、頰の発達不足につながる。
  • 睡眠時の気道が狭くなり、いびきや睡眠の質に影響しやすい
    →舌が喉側に落ちることで空気の通りが悪くなる。

このように、ポカン口は “見た目印象の問題”と“機能の問題”がセットになっている状態です。

だからこそ、印象力を上げるという意味でも、身体機能を守るという意味でも、放置せず原因を把握し、改善していくことがとても大切なのです。

ポカン口になる主な原因

ポカン口はひとつの理由で起こるものではなく、生活習慣や身体の使い方など、さまざまな要因が重なって生じます。

まずは代表的な要因から整理します。

1. 口呼吸の習慣

鼻呼吸よりも口呼吸が多い人は、口を閉じる機会が減り、閉じるための筋肉が弱まりやすくなります。

  • アレルギーによる鼻づまり
  • 慢性的な鼻呼吸のしにくさ
  • 就寝中の口呼吸

などが背景にあることも多いです。

2. 舌の位置の低下(舌が奥に落ちる)

本来、舌は上あごに軽く触れているのが理想ですが、舌が下に落ちるクセがあると、口が自然と開きやすくなります。舌の位置が下がると、口周りの筋肉も働きにくくなるため、 ポカン口と非常に関係が深いポイントです。

3. 噛む回数の減少・食生活の変化

柔らかい食べ物が増え、噛む回数が減ると、頬や口周りの筋肉の刺激が大幅に減ります。
咀嚼は本来、顔の筋力を保つための重要な“日常運動”ですが、現代ではそれが不足しがちです。

4. 姿勢の乱れ(スマホ姿勢)

スマホを見るときの下向き姿勢は、下あごが前に出て、口が開きやすくなる姿勢です。
また、舌が奥に落ちやすくなるため、ポカン口を助長する重要な生活習慣のひとつです。

5. 表情の減少・口元の運動不足

マスク生活やオンライン中心のコミュニケーションによって、口元を大きく動かす機会が極端に減りました。

  • 笑う機会が減った
  • しゃべる量が少ない
  • 無表情の時間が長い

こうした状況は、口輪筋や頬筋といった口周りの筋肉の衰えにつながります。

顔の運動不足がポカン口の原因に

ここまでさまざまな要因を挙げてきましたが、その中でも表情筋研究家として最も注目したいのが、顔の「運動不足」による口周りの表情筋の筋力低下です。

私たちは、体の筋肉は「鍛えないと衰える」と理解しています。

ジムに通って体を動かす、ストレッチをする、姿勢を整える──
そうした努力を日常的に行う人は多いでしょう。

顔の筋肉もまったく同じ構造であり、使わなければ確実に衰えます。
にもかかわらず、顔の筋肉だけは“無意識に動いているだろう”と捉えられがちです。

実際には、現代人は表情を動かす機会が少なく、その結果、口周りの筋肉に必要な刺激がほとんど入らないまま過ごしていることが多いのです。

筋肉は使われなければ弱くなり、弱くなった筋肉では「閉じる」「支える」といった基本的な働きを維持できません。

その結果、
「閉じようと思っても閉じ続けられない」
「自然に閉じている状態を維持できない」
という状態が生まれ、ポカン口という形でサインが現れてきます。

特に以下の2つの筋肉は、ポカン口と密接な関係があります。

鍵を握る「口輪筋」と「頬筋」

ポカン口を改善するうえで鍵となるのが、口輪筋(こうりんきん)と頬筋(きょうきん)です。
この2つは口元の動きと形をコントロールする中心的な筋肉であり、衰えると口が自然に閉じなくなる大きな要因となります。

1. 口輪筋

口輪筋

口輪筋は、口の周囲をぐるりと囲むリング状の筋肉です。
唇を閉じたり、すぼめたりする動きを担っています。

主な役割は以下の通りです。

  • 唇をしっかり閉じる
  • 口をすぼめる・口笛の形を作る
  • 食べ物がこぼれないようにする
  • 発音を助ける
  • 顔全体の表情を支える“中心筋”

口輪筋は表情筋の中でも特に重要な筋肉で、ここが弱まると「口を閉じ続ける筋力」が不足します。

また、口輪筋は放射線状に顔の筋肉とつながっているため、衰えると口周りだけでなく、 頬のたるみ・フェイスラインの緩みなどにも影響します。

2. 頬筋

頬筋は、頬の内側から口角へ向かって伸びる筋肉で、口の横方向の動きや口角のコントロールに深く関わります。

主な役割は、

  • 口角を引き上げる
  • 口の中の食べ物を歯に運ぶ補助
  • 口元の形を整える
  • 頬のボリュームを内側から支える

頬筋が弱くなると、

  • 口角が下がりやすい
  • 口周りを支える力が弱まる
  • 口が半開きの状態を止められない

といった状態になりやすくなります。

つまり、口を閉じる力(口輪筋)と、口周りを支える力(頬筋)のどちらが欠けても、
ポカン口は起きやすくなるということです。

なぜ鍛えるとポカン口が改善するのか

ポカン口を改善するためには、「閉じる力」と「支える力」の両方が必要です。
口輪筋と頬筋を鍛えることで、この2つの力がしっかり働くようになっていきます。

1. 口輪筋が鍛えられると“閉じる力”が戻る

口輪筋は唇を閉じる動きの中心となる筋肉です。
ここが衰えると、閉じようとしても力が続かず、数秒後には口が開いてしまいます。

鍛えることで、

  • 唇がしっかり閉じられる
  • 閉じている状態を維持できる
  • 無意識でも口元の形が安定する

という「閉じる力」が戻り、自然な口元が保ちやすくなります。

2. 頬筋が鍛えられると“支える力”が生まれる

ポカン口は、唇だけでなく“頬の支えの弱さ”も大きく関係しています。
頬筋が弱いと、口角が下がり、口全体がゆるむように開いてしまいます。

頬筋がしっかり働くことで、

  • 口角が自然に上がり、口元が締まりやすくなる
  • 口周りが内側から支えられ、開きっぱなしを防ぐ
  • 舌の位置も安定し、鼻呼吸しやすくなる

といった変化が起こります。

つまり、

口輪筋=閉じる力 
頬筋=支える力

この2つがそろって初めて、 “閉じられる口元”が無意識でキープできるようになるのです。

3. 鍛えることで、口のクセそのものが改善する

ポカン口は筋力不足だけでなく、「口を開いたままにするクセ」が積み重なっている場合もあります。

トレーニングで筋肉をしっかり動かすと、

  • 口元の感覚が目覚める
  • 閉じる形が“自然な位置”として記憶される
  • 日常生活で口が開いたままになりにくくなる

という“使い方のリセット”が起こります。

筋肉が動くと、脳が「これが正しい位置」と認識するため、 クセの改善にも直接つながります。

4. 鼻呼吸がしやすくなり、機能面のデメリットも改善

口輪筋・頬筋が働くと、口呼吸が減って鼻呼吸が安定しやすくなります。

その結果、

  • 口内の乾燥が減る
  • ・ウィルスや細菌が侵入しにくくなる
  • ・唾液量が安定して虫歯・歯周病リスクが軽減
  • 気道が開き、呼吸も深くなる

など、機能面の改善にもつながります。

口の締まりをよくする「ウートレ」

ポカン口の改善に特に効果的なのが、口輪筋と頬筋を同時に鍛える「ウートレ」です。

① 「ウー」の形
「ウー」と発音するように唇をしっかり前に突き出します
② 右に5秒
口をすぼめたまま右側に動かし、5秒間キープします
③ 左に5秒
同じく左側に動かして5秒間キープします
④ 繰り返し
左右の動きをスピードアップして10回繰り返します

左右の口角の内側を寄せるように、口を「ウ」の形にすぼめます。

唇の動きにつられて顔全体が前に出ないように注意しましょう。

ポカン口は鍛えることで改善できる

大人になると、誰かに顔の使い方を注意される機会はほとんどありません。
そのため、自分がポカン口になっていることに気づかないまま日常を過ごしている方も多いのが実情です。

写真を撮られたとき、ふと鏡に映った自分の表情を見たとき、「思っていた表情と違う」と驚いた経験はありませんか?

まずは、日々の中でそっと鏡を見る時間をつくり、今の自分の口元はどんな状態かを知るところから始めてみてください。

自分の表情の“クセ”に気づくことは、修正への確かな第一歩です。

クセに気づいて、顔の使い方を整えていくと、少しずつ口元が変わっていきます。
そしてそれは、自分の印象を自分の力で変えられるという実感につながり、結果として自己肯定感も自然と高まっていきます。

ポカン口は決して 「だらしない」「やる気がない」といった性格を表しているわけではありません。

しかし、外から見た印象としてはそう誤解されやすく、非常にもったいない状態です。
さらに、口内が乾燥しやすくなることでウイルスが入りやすくなるなど、感染症や健康面でのリスクも伴います。

だからこそ、 “気づいたときが改善のタイミング”です。

ポカン口は、遺伝でも性格でもなく、「筋肉の使い方のクセ」が積み重なって起きていることが多い状態。
つまり、正しいトレーニングで必ず改善できます。

口元が変わると、呼吸も姿勢も表情も、全体が整っていきますよ!

顔の筋肉は年齢に関係なく鍛えることができます。
口輪筋も頬筋も、今日から動かし始めることで変化は着実に生まれます。

  • 気づいたら口が開いている
  • 写真で口元が締まらない
  • 鼻呼吸が維持しにくい
  • 口の乾燥が気になる

こんな悩みがある方は、まずは「ウートレ」で口周りの筋肉にスイッチを入れてみてください。
ほんの数十秒の積み重ねでも、確かな変化が感じられるはずです。

MYメソッドアカデミー

ポカン口は“治らないクセ”ではありません。
改善できるクセです。

表情筋を整えることで、自然に閉じる口元、シャープな輪郭、そして明るさのある表情へと確実につながっていきます。

顔の学校「MYメソッドアカデミー」では、口輪筋・頬筋を正しく使うための基礎から、表情筋全体の使い方まで体系的に学べるプログラムをご用意しています。
口元のクセを根本から整えたい方、「ウートレ」の“効いている感覚”をしっかり掴みたい方は、 ぜひ一度アカデミーの講座を覗いてみてください。

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