
目元は、顔全体の印象を大きく左右するパーツです。
わずかに皮膚が下がるだけで「疲れている」「不機嫌そう」「老けて見える」といったマイナスの印象を与えやすくなります。
多くの方が「目元のたるみ=加齢」と考えがちですが、実際には年齢に関係なく誰にでも起こりうる現象です。長時間のスマホ使用、下を向いた姿勢の癖、瞬きの減少、笑い方の習慣など、日常の積み重ねによって目元は知らないうちに弛んでいきます。
私は表情筋研究家として、幅広い年齢層の方の顔に触れてきましたが、「年齢」だけでは説明できないケースを多く見てきました。今回は、加齢を含むさまざまな要因から目元のたるみを解説し、改善のために何をすべきかをご紹介します。
目元のたるみとは?
「目元のたるみ」とは、まぶたや目の下の皮膚・筋肉が重力に抗えず下垂し、ハリや弾力を失っている状態を指します。具体的なサインとしては、以下のような変化が挙げられます。
目元のたるみサイン
- 目の下に影やふくらみが出て、疲れた印象になる
- 上まぶたが下がり、目が小さく見える
- 目尻が下がって、笑顔が老けて見える
- クマや小ジワが強調される
これらは「皮膚の老化現象」として捉えられがちですが、実際には皮膚だけでなく、その奥にある眼輪筋(目の周りを取り囲む筋肉)や支持組織 の機能低下が大きく関与しています。

目の周りは皮膚が非常に薄く(頬の約3分の1ほど)、皮下脂肪も少ないため、筋肉の状態や血流の影響を受けやすい部位です。そのため、加齢によるコラーゲンやエラスチンの減少だけでなく、 眼輪筋の衰え・血行不良・リンパの停滞 が重なることで、若い世代でもたるみは簡単に現れます。
さらに、スマホやパソコンを長時間見続ける習慣、下を向いた姿勢、瞬きの回数減少、笑うときに目尻を寄せるクセなども、目元の皮膚と筋肉に負担をかけてしまいます。その結果、「年齢のせい」ではなく「生活習慣のせい」で目元が弛んで見えるケースも非常に多いのです。
つまり、目元のたるみは 加齢だけに起因するものではなく、日々の顔の使い方・筋肉の状態・生活習慣が大きく左右する現象 と言えるのです。
目元がたるむ主な原因
1. 長時間の下向き姿勢

スマホやPCを長時間見続けると、視線が常に下に固定されます。この状態では目を大きく開いたり閉じたりする動きが減り、眼輪筋がほとんど使われなくなります。結果として目周りの血流やリンパの循環が滞り、むくみやたるみが進行しやすくなります。特に「下まぶたのたるみ」や「クマ」の出現と深く関わります。
2. 姿勢の悪さ

猫背やうつむき姿勢は、首の前側の広頚筋や胸鎖乳突筋に余計な負荷を与えます。これらの筋肉は顔とも連動しているため、首が下に引かれると目元の皮膚も下方向に引き下げられやすくなります。つまり全身の姿勢と目元のたるみは密接に関係しており、顔だけでなく体の意識も必要なのです。
3. 笑い方のクセ

「目尻だけで笑う」クセがある方は要注意です。頬や口角を使わずに目尻だけに負担をかけ続けると、その部分の皮膚や筋肉にストレスが集中し、シワやたるみが刻まれていきます。理想は、頬の大頬骨筋や口角挙筋と一緒に動かし、顔全体をバランスよく使って笑うことです。
4. 瞬きの減少

スマホやPC作業に集中すると、瞬きの回数は通常の3分の1以下に減るといわれています。瞬きは眼輪筋を自然に動かし、涙を分泌して目の乾燥を防ぎ、血流を促す大切な動作です。瞬きが減れば、乾燥やクマ、そしてたるみの進行につながります。
5. 加齢による弾力低下

もちろん、加齢に伴い皮膚のコラーゲンやエラスチンといった弾力成分は減少します。そのため目元の皮膚は薄くなり、支える力を失ってたるみやすくなります。ただし「年齢だから避けられない」と諦める必要はありません。皮膚の弾力が落ちても、眼輪筋を鍛えて血流や代謝を高め、さらに生活習慣を整えることで改善は十分に可能です。
改善のカギは「眼輪筋」
目元のたるみを改善するうえで最も重要なのが「眼輪筋(がんりんきん)」です。
眼輪筋は目の周囲をぐるりと囲むドーナツ状の筋肉で、内側の「眼瞼部(がんけんぶ)」と外側の「眼窩部(がんかぶ)」に大きく分けられます。まばたきや瞬間的な閉眼を行うのは主に眼瞼部、目をしっかり閉じたり表情をつくるときに働くのは眼窩部です。この二層がバランスよく働くことで、目元の血流やリンパの循環が保たれ、皮膚や皮下組織のコンディションが整います。

眼輪筋が弱まるとどうなる?
眼輪筋は「使わなければ衰える」性質を持ちます。瞬きの回数が少ない、下ばかり向く姿勢が多い、PCやスマホの長時間使用などで眼輪筋が十分に働かないと、次のような影響が出てきます。
眼輪筋が衰えると…
- まぶたが下がり、目が小さく見える
- 目の下の血行が悪化し、クマやたるみが出る
- 老廃物や水分が滞り、むくみが慢性化する
- 表情が乏しくなり、印象が暗く見える
つまり、眼輪筋の衰えは「機能低下」だけでなく、目元の美しさや若々しさを損なう大きな要因となります。
眼輪筋を鍛えることで得られる効果
一方で、眼輪筋を正しく鍛えると目の開閉がスムーズになり、血流・リンパの循環が改善。皮膚にハリが戻り、たるみや小ジワが軽減されます。
眼輪筋を鍛えるメリット
- 目の開きが良くなり、目力アップ
- 目尻や下まぶたのシワの予防
- むくみが取れて目元がすっきり
- 明るくフレッシュな印象へ
眼輪筋は顔の中でも「即効性を感じやすい筋肉」であり、トレーニングを続ければ、わずかな期間でも目の印象が変わっていくのを実感できる方が多いのです。
一時的なケアと根本的な改善の違い

美容施術やメイクで目元のたるみを隠すことはできますが、それはあくまで「表面的なカバー」にすぎません。皮膚の下で眼輪筋がうまく働いていなければ、時間が経てば再びたるみは戻ってきます。根本的に改善するには、眼輪筋そのものを鍛えて目の開閉力や血流を高めることが不可欠です。
さらに、姿勢や瞬きの癖を整えることで、目元に余計な負担をかけずに過ごせるようになります。
自分の筋肉を意識して使えるようになると、たるみが改善するだけでなく「自分の力で変われる」という実感が得られ、表情や気持ちまで前向きに変わっていくのです。
「まぶたストレッチ」で目元のたるみ改善
目元のたるみ改善に効果的なのが、眼輪筋をしっかりと使う「まぶたストレッチ」です。眼輪筋はまぶたの開閉を担う筋肉で、血流やリンパの流れにも深く関わっています。そのため、この筋肉を鍛えることで目元のむくみや重たさをリセットし、スッキリとした印象を取り戻すことができます。
- ① 準備
- 目尻の外側に指を当てます。

- ② キープ1
- 目を細めながらまつげを前に出すイメージで、5秒キープします。

- ③ キープ2
- 手を外して、さらに5秒キープします。

- ④ 繰り返し
- ①〜③を1セットとして、これを3〜5セット行います。

やり方はシンプルですが、丁寧さがポイントです。目を細める際には眉間にシワが入らないように注意し、額ではなく「目の周囲の筋肉」を意識しましょう。上まぶたと下まぶたを、平行にゆっくりと近づけていくイメージで行うと、眼輪筋にしっかり効かせることができます。
さらに応用として、上まぶたのたるみが気になる場合は目尻の上あたりに、下まぶたのたるみが気になる場合は目尻の下あたりに指を添えてみてください。指の位置を変えることで動きの意識が高まり、よりピンポイントに刺激を届けることができます。

目元のたるみは「加齢だから仕方ない」と思われがちですが、実際には日常の姿勢や瞬きの回数、さらには笑い方のクセなど、無意識の積み重ねによって生まれているケースがとても多いのです。つまり、目元のたるみは「避けられない運命」ではなく、自分の習慣を見直すことで改善できる可能性を秘めています。
特に重要なのが、まぶたや目の周囲を取り囲む眼輪筋。ここは血流やリンパの流れとも密接に関わり、瞬きや目の開閉を担う大切な筋肉です。しかし、スマホやPCに長時間向き合う現代の生活では、瞬きが減り、眼輪筋が使われなくなることでむくみやたるみが進みやすくなります。さらに、猫背やうつむき姿勢も首や頬を下方向に引き下げ、目元の皮膚を支えにくくしてしまうのです。
一方で、眼輪筋を鍛え、正しい姿勢と顔の使い方を意識するだけで、目元は驚くほど変わります。トレーニングを習慣にすることで、まぶたの開きが改善され、血流が良くなり、クマやむくみが和らいでいきます。目尻が引き締まり、目の周囲がすっきりと整えば、顔全体が若々しく、そして生き生きとした印象に変わっていきます。

私の場合は、「まぶたストレッチ」を続けたら目元が明るくなり、まつ毛まで元気になってきました!
もちろん、美容施術やメイクで一時的にたるみを隠すことも可能です。しかし、根本的に解決するには「筋肉を育てること」が不可欠です。表情筋を正しく使えるようになると、自分の力で顔を変えられるという自信にもつながり、外見だけでなく気持ちまで前向きに変化していきます。
MYメソッドアカデミー

顔の学校「MYメソッドアカデミー」では、眼輪筋をはじめとする表情筋を基礎から整え、日常生活の中にも取り入れやすいトレーニングを提供しています。年齢や性別に関係なく、どなたでも始められるプログラムです。
未来の顔は今日の使い方で変わります。私たちと一緒に、しなやかで引き締まった目元を育てていきませんか?