
年齢を問わず、多くの方が気にされる悩みのひとつに「唇の縦ジワ」があります。
口紅が入り込みやすくなる、唇がしぼんだ印象に見える、老けて見える──
こうした変化は日常的な表情筋の使い方と密接に関わっています。
唇は、皮膚構造・水分保持力・筋肉の働きという三つの要素が影響し合う、非常に繊細なエリアです本コラムでは、唇の縦ジワが生じる仕組みを表情筋研究家の視点から紐解きながら、根本改善につながる「口輪筋のケア」について詳しく説明していきます。
唇の縦ジワとは?

唇表面に形成される細かな縦の溝を総称して「縦ジワ」と呼びます。
これは乾燥だけではなく、唇の厚み・弾力性の低下や、口輪筋の働きが弱くなることで“内側から支える力”が不足している状態でもあります。
唇は他の皮膚とは異なり、皮脂腺・汗腺がほとんど存在しません。そのため外的刺激に弱く、水分が蒸散しやすい構造になっています。この独特の構造が、縦ジワを生じやすい背景のひとつです。
唇の縦ジワはなぜできるのか
縦ジワが形成される要因は複合的ですが、表情筋研究家として特に重要視するのは「口輪筋の状態」です。
以下に主な原因を整理します。
1. 口輪筋の衰え・偏った使い方

縦ジワに最も強く影響するのが、口輪筋の働きです。口輪筋は唇周囲を取り囲み、唇の形や厚みを保つ役割を担っています。
しかし、
- マスク生活による表情の減少
- 発声量・会話量の低下
- 加齢による筋力低下
- 表情のクセによる特定部位の緊張
これらが重なることで、口輪筋の中央部が十分に使われず、逆に口角付近の末端だけが緊張して硬くなるケースが非常に多く見られます。
2. 皮膚の薄さと水分保持力の低さ

唇の角質層は極めて薄く、保湿機能が弱いため、乾燥が早く進み、キメが乱れやすくなります。乾燥が続くと柔軟性が低下し、縦方向にスジが入りやすくなります。
3. 無意識の癖による“すぼみグセ”

以下の癖は口輪筋のアンバランスを助長し、唇をしぼませる大きな要因となります。
- 口呼吸
- ぽかん口
- 唇を噛む癖
- ストローの頻用
- 会話量が少ない生活
これらは唇が常に“すぼまった状態”をつくり、縦ジワの定着を促進します。
4. 姿勢・呼吸の影響

猫背などの前傾姿勢は、口元が緩みやすく、口輪筋の働きが弱まります。また、口呼吸が慢性化すると、口輪筋が使われる機会自体が減少します。
5. 加齢によるボリューム低下

年齢とともにコラーゲンが減ると、唇の厚みと弾力が低下し、筋肉で支えきれなかった部分にシワが生じやすくなります。ただし、筋肉を適切に使っている方は進行が緩やかです。
なぜ口輪筋を鍛えることが大切なのか
唇の縦ジワは、一見「皮膚(表面)」だけの問題に見えますが、実際にはその内側にある筋肉=口輪筋の状態と密接に関係しています。
口輪筋とは、唇の周囲をぐるりと取り囲む“円形の筋肉”で、口の開閉・すぼめる・突き出す・発音など、口元の動きのほぼすべてに関わる、非常に重要な表情筋です。
表情筋研究家の視点から整理すると、口輪筋を鍛えることが唇のシワ予防や“プルンとした厚み”につながる理由は、大きく分けて次の3つです。

1. 口輪筋は、唇の“土台”となるインナーフレームだから
唇の皮膚は、直接骨についているわけではありません。皮膚のすぐ下には脂肪や結合組織があり、そのさらに内側で口輪筋が「土台」として唇の立体感を支えている構造になっています。
口輪筋がしっかり働いている
→ 唇全体が前方・外側にふくらみ、厚みと丸みが出る
口輪筋が衰えている・一部しか使えていない
→ 唇が内側に巻き込まれるように“しぼみ”、表面の皮膚が余って縦ジワになる
つまり、筋肉という“フレーム”が潰れてしまうと、その上に乗っている皮膚がシワとして折れやすくなるということです。
逆に言えば、口輪筋を鍛えてフレームをふっくら保つことが、結果的に「皮膚にシワを寄せにくくする」ことにつながります。
2. 口輪筋が動くと、血行と代謝が上がり、潤いを保ちやすくなるから
唇は皮脂腺がほとんどなく、自力で油分を補うことができません。その代わりに重要になるのが血流と代謝です。
口輪筋をしっかり動かすと
- 唇周囲の血流が促進される
- 酸素や栄養が届きやすくなる
- 老廃物が流れやすくなる
- 皮膚のターンオーバーが整いやすくなる
上記の変化の結果
- 乾燥しきってカサカサになる
- 表面だけがひび割れた状態で止まる
といった“しぼんだ縦ジワ”を防ぎ、ふっくらとしたボリュームと自然なツヤが出やすい環境が整います。保湿剤だけで“表面をぬらす”のではなく、筋肉を動かすことで内側から血流・代謝を高めることが、プルンとした質感づくりの土台になる、という考え方です。
3. 口輪筋を鍛えることで、「すぼみグセ」「口の末端の緊張」をリセットできるから
唇の縦ジワは以下のような流れでどんどん定着していきます。
①口角だけギュッと力む
→ 口角付近の筋肉だけが硬く縮み、唇の中央がつぶされるようにしぼむ。結果として、表面の皮膚に縦方向のシワが刻まれやすくなる。
② 無意識に唇をすぼめている
→ 唇が常に内側へ引き込まれ、厚みが失われる。ボリュームが減ることで皮膚が余り、細かい縦ジワが定着しやすくなる。
③ 口呼吸で口元が常に半開き
→ 唇が軽く開いたまま保持されるため、口輪筋がほとんど使われなくなる。支えを失った唇は乾燥しやすく、ハリが低下し、縦ジワが深まりやすい。
ここで、意図的に口輪筋を鍛えるトレーニングを取り入れることで、
- 口の末端の過緊張をゆるめる
- これまでサボっていた中央部分の筋肉を目覚めさせる
- 「すぼむ」ではなく「前にふくらむ」パターンに使い方を上書きする
ことができます。
つまり、筋肉の使い方そのものを“しぼませる口元”から“ふっくら見せる口元”へと再教育していくイメージです。
「リッププッシュ」で“プルルンリップ”を育てよう
- ① あごの力を抜く
- 手で触れながらあごの力を抜きます。

- ② 手で広げてキープ
- 指を口周りに当て、皮膚が緊張していないことを確認しながら、唇をめくるようにやや外側に広げ、5秒キープします。

- ③ 手を離してキープ
- 手を外して、さらに5秒キープします。

- ④ 繰り返し
- ①〜③を1セットとして、これを3〜5セット行います。

左右の口角を寄せるように口をすぼめます。この時、口周りの皮膚には力を入れずに、内側の表情筋を使うように意識することがポイントです。
唇の表面ではなく、骨に近い筋肉を使って、唇を外側に開いていくイメージです。鏡を見ながら、唇の表面にシワが寄らないようにチェックしてください。
唇のシワ改善の鍵は、保湿ではなく“動きの再教育”

唇の縦ジワは、一見「乾燥」だけの問題のように思われがちです。もちろんリップクリームやバームによる外側からの保湿も大切ですし、紫外線・摩擦・温度変化といった外的刺激を防ぐことは、唇を守るために欠かせません。
しかし、表情筋研究家として確信を持ってお伝えしたいのは、唇のシワの根本には“筋肉の状態”があるということです。
唇のハリ・厚み・ふくらみを支えるのは、皮膚ではなく、その直下にある口輪筋です。口輪筋は唇の周囲をぐるりと取り囲む独特な円形の筋肉で、唇の形・可動性・血行を内側から支える“インナーフレーム”の役割を果たしています。
外側からどれだけ潤いを補っても、この土台がしぼんでいては、唇は本来のふっくら感を取り戻すことができません。
皮膚表面だけを整えても、内側で支える筋肉が衰えていれば、その上に乗る皮膚は折れやすく、縦ジワが定着しやすくなってしまうのです。

さらに、唇の状態は「日常の使い方」と深く結びついています。
口角だけに力が入る、無意識に唇をすぼめる、口呼吸で口元が常に半開きになっている——こうした癖はどれも、口輪筋のバランスを崩し、唇を内側へ引き込む“しぼみグセ”をつくります。
その結果、唇の表面には細かい縦ジワが刻まれ、乾燥しやすい状態が固定され、年齢以上に老けた印象を与えてしまうこともあります。
だからこそ、唇のシワを本質的に改善したいのであれば、外側のケアだけでなく、口輪筋そのものを鍛え、使い方の癖をリセットすることが不可欠です。
口輪筋が適切に働くようになると、唇の中央が前へふっくら押し出され、立体感が戻ります。血流も改善し、唇本来の赤みやツヤがよみがえり、乾燥に強い状態がつくられていきます。
そして何より、筋肉の働きが正常化すると、唇表面にかかる力の方向が変わり、縦ジワが入りにくい構造そのものを自力でつくることができるのです。
また、唇に限らず、シワというと「年齢だから仕方ない」と思われがちですが、実際には、顔の使い方を変えると、シワは自力で薄くなる。これは研究と指導の現場で多くの方を見てきた私だからこそ、はっきりと伝えられる事実です。

シワは“年齢の証拠”ではなく、使い方のサイン。何歳からでも整えていけますよ!
表情筋は鍛えれば応えてくれますし、癖は意識とトレーニングで必ず書き換えられます。
そして、唇の縦ジワのような“毎日無意識に使っている部分”ほど、変化が早く、見た目の印象が大きく向上します。
MYメソッドアカデミー

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口元の癖を直し、自力でシワを薄くしていくための実践的なメソッドをお伝えしています。