
「人前に立つと頭が真っ白になる」「声が震える」「早口になってしまう」「終わったあとに、あれも言えたのにと後悔する」——こうした悩みを抱えている人はとても多いものです。
これらは「プレゼンが苦手」「人前で話すのが不得意」と表現されますが、その正体を掘り下げると、単なる性格やメンタルの問題ではなく、舌や口周りの筋肉の使い方に大きく関係していることがわかります。
私は表情筋研究家として、顔の筋肉と印象力・発声・自信の関係を研究してきました。
プレゼンの苦手意識は、年齢や経験だけでなく、顔の筋肉の状態や日常の使い方にも深く影響を受けています。
今回は「プレゼンが苦手」とはどういう状態なのか、なぜそうなるのか、そして改善のための具体的な方法について表情筋研究家の視点から解説していきます。
プレゼンが苦手とはどういう状態か
プレゼンが苦手というのは、単に話す内容がまとまらないということではありません。
声が安定せず、言葉がもたつき、表情が硬くなり、自信がなさそうに見えてしまう状態を指します。
話すという行為は、舌、唇、頬、呼吸、そして表情の総合運動です。
舌がスムーズに動かなければ滑舌が乱れ、口輪筋が弱ければ言葉の輪郭がぼやけ、頬が下がれば声がこもり、大頬骨筋が動かなければ笑顔が作れません。
つまり、プレゼン力は「顔の総合筋力」によって支えられているのです。
なぜプレゼンは不安になるのか

プレゼンの不安は、イメージできないことから生まれます。
うまく話している自分の姿を想像できないから、恐怖が膨らみます。そして緊張すると、舌が固まり、呼吸が浅くなり、口周りが硬直します。
その結果、本来持っている力の半分も出せなくなります。
さらに現代人は、会話量の減少、スマホ時間の増加、無表情でいる時間の長さによって、顔の筋肉が運動不足になっています。
筋肉が準備できていない状態で本番を迎えれば、不安定になるのは当然です。
プレゼンが苦手になりやすい人の特徴
口輪筋が弱く、口の開きが小さい
母音がはっきりせず、語尾がぼやけ、自信がなさそうに聞こえます。
頬が下がり、無表情が多い
声がこもり、印象が暗くなります。
大頬骨筋が動かず、笑顔がぎこちない
聞き手に安心感を与えられません。
呼吸が浅い
声量が安定せず、早口になります。
これらはすべて、筋肉の使い方に共通する課題です。つまり、トレーニングによって十分改善できるということです。
プレゼン改善のカギは「舌筋」
舌は筋肉のかたまりで、内舌筋と外舌筋が連動し、前後上下左右に繊細な動きを生み出しています。
舌筋がしっかり働くことで、発音が明瞭になり、声が安定します。逆に舌筋が衰えると、言葉がこもり、不安定な印象になります。
舌筋が目覚めると、呼吸も安定し、話すリズムも整います。
「口輪筋プッシュ」で言葉に輪郭を
舌でほうれい線の内側をなぞるようにプッシュするトレーニングは、舌筋と口輪筋を同時に鍛えます。
口が緩んで開かないよう注意しながら行うことで、言葉の輪郭がはっきりしてきます。
口輪筋が安定すると、母音が明瞭になり、説得力が増します。
- ① 舌を内側にセット
- 口をすぼめます。右頬の内側から舌でほうれい線を、3〜5回上下になぞります。

- ② 反対
- 反対も同様に行います。

- ③ 繰り返し
- ①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

舌を動かす際に、口が緩まないように注意しましょう。
頬筋と大頬骨筋で自信をつくる
頬筋は声を前に押し出すサポート役です。頬が安定すると、声がこもらず、相手に届く話し方になります。
そして大頬骨筋は笑顔の筋肉です。口角を斜め上に引き上げることで、印象は一気に明るくなります。
表情が変わると、脳も前向きに切り替わり、緊張が和らぎます。
プレゼンでは内容と同じくらい、印象が重要です。
ウーニートレ
- ① 口をすぼめる
- 口を「う」の形にすぼめます。

- ② にっこり
- 上の歯が8本見えるように口を「に」 の形にして、にっこり微笑みます。

- ③ 繰り返し
- ①〜②を、10回繰り返します。

- ④ セットを繰り返す
- ③を1セットとして、これを2〜4セット行います。
「ウーニートレ」は頬筋と大頬骨筋を鍛え、笑顔の瞬発力を高めるトレーニングです。日頃からこの練習をしておくことで、緊張しているときにもメンタルに負けず笑顔をつくることができます。頬がきゅっと引き上がることで、不思議と気持ちも引き上げられます。表情とメンタルは双方向につながっているため、頬を上げることは心を上げることにもつながるのです。
鏡を見ながら話す練習を

意外に、自分の顔や話し方を客観的に見ている人は少ないものです。メイクやエチケットで鏡をチェックするときは、たいてい“決めた表情”です。そのため、知らないうちに撮られた写真が自分のイメージと違ってショックを受けた経験がある方もいるのではないでしょうか。
動いているときの自分の顔は、思っている顔と違うことがあります。口が無意識に歪む癖があったり、真剣に話すあまり眉間にシワが入っていたり、自分では気づいていない表情の癖が隠れていることもあります。
だからこそ、鏡を見て練習したり、動画に撮って確認したりすることがとても大切です。最初はショックを受けることもあるかもしれません。しかし、人間が何より不安なのは「わからない状態」です。自分の課題が見えれば、あとは練習で改善するだけです。
プレゼンで解決すべき表情や話し方は、生まれ持った顔や遺伝には関係ありません。筋肉の使い方の問題です。つまり、いくらでも練習によって克服できます。改善点を知り、トレーニングを重ねることで、必ず自信へと変わっていきます。
プレゼンしている自分をイメージできないから不安になるだけです。イメージできるところまで練習してみてください。見慣れた自分の顔は、やがて安心材料になります。
プレゼン力にセンスは不要
私もかつては、人前で話すのが本当に苦手でした。声は震え、頭は真っ白になり、早く終わってほしいと願いながら話していました。しかし、舌筋、口輪筋、頬筋、大頬骨筋を繰り返し鍛え、鏡を見ながら話すイメージトレーニングを続けていくうちに、少しずつ変化が生まれました。今では何百人もの前で話す機会をいただいています。

変わったのは性格ではありません。顔の使い方です。
プレゼンはもちろん内容も大切です。しかし、それと同じくらい「印象」も重要です。自信を持って話せるようになると、不思議と説得力や伝わる力が自然についてきます。

メンタルを強くしなければ、プレゼン力を上げなければ、と考えると難しく感じてしまいます。でも、難しく考えなくていいのです。まずは舌筋や頬筋など、表情筋のトレーニングから入ってみてください。スポーツの練習と同じです。筋肉が動くようになれば、パフォーマンスが上がるのは当たり前のことです。
顔がしっかり動くようになれば、声が安定し、言葉がはっきりし、自然と自信が生まれます。プレゼン力はセンスではありません。筋肉の準備です。

無理に自信をつけようとしなくて大丈夫。顔を動かしていれば、自信は自然と育っていきます!
仕事などでプレゼンの機会がない方も、あえて練習をしておくことをおすすめします。プレゼンの練習は、人前で発表するためだけのものではありません。自分の考えを整理し、相手にわかりやすく伝える力、そして表情を通して信頼感を届ける力を育ててくれます。伝える力は、日常のコミュニケーションすべてに直結します。家庭でも、職場でも、どんな場面でも役立つ一生もののスキルです。
顔はあなたの声を奏でる楽器です。その楽器を正しく使い、丁寧に鍛えていけば、プレゼンは必ず変わります。今日からまず、鏡の前で1分、舌と頬を意識して話してみてください。自分の顔を味方につけることが、プレゼン克服の第一歩です。
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