間々田 佳子

「朝、いつもと同じファンデーションを塗っているのに、今日はなんだか浮いて見える」
「どんなにスキンケアしても、粉っぽくて化粧がきれいに仕上がらない」

そんな“化粧ノリが悪い日”を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。

一見、肌のコンディションだけの問題に思えますが、実はその裏には表情筋——つまり“顔を動かす筋肉”の使い方が大きく関わっています

私は表情筋研究家として、顔の筋肉と肌の関係を長年観察してきました。
その中で確信しているのは、「化粧ノリの良し悪しは、“顔の筋肉をどれだけ使っているか”で変わる」ということです。

今回は、医学的・皮膚科学的な治療の話ではなく、あくまでも表情筋研究家としての立場から、化粧ノリの仕組みと改善のための“顔の使い方”をわかりやすくお伝えしていきます。

化粧ノリが悪いとはどういう状態?

「化粧ノリが悪い」とは、スキンケアやメイクをしても肌に均一に密着せず、ムラができたり、粉浮き・ヨレが起こる状態を指します。

肌の水分・油分・キメのバランスが崩れているサインでもあります。

代表的な症状としては

  • ファンデーションが浮く
  • ほほや口周りに粉がふく
  • 毛穴が目立つ
  • メイクが時間とともに崩れやすい
  • 肌がどんよりくすんで見える

つまり、「肌表面がなめらかに整っていない」「水分が行き渡っていない」ことが原因です。

ここで大切なのは、肌そのものの問題だけでなく、その土台となる“筋肉”の状態も深く関係しているという点です。

化粧ノリが悪くなる原因

化粧ノリの悪さにはいくつもの要因が重なっています。
スキンケアだけで解決しないのは、表情筋や血流など「顔の中」の問題が大きいからです。

1. 血行不良によるくすみ

顔の筋肉がこわばると、毛細血管への血流が滞り、肌の隅々まで酸素と栄養が届かなくなります。
その結果、肌は冷え、くすみや乾燥が進行。化粧品がなじみにくく、どんなに高価なファンデーションでも「のらない」状態になります。

2. むくみ・筋肉の緊張

朝起きたときに顔がむくんでいる、または疲れ顔が続いているときは、筋肉が硬直してリンパの流れが悪くなっています。
むくんだ肌は水分を抱え込みすぎていて、ファンデーションが密着しにくく、表面も不安定になります。

3. 表情が少ない生活習慣

スマホやPCに向かう時間が長く、顔をほとんど動かさない人が増えています。
筋肉が動かないと血流も低下し、肌のターンオーバー(再生周期)が乱れます。結果、古い角質が肌に残り、スキンケアの浸透も悪くなるのです。

4. 姿勢の悪さ

猫背や前傾姿勢は、首や肩の血行を妨げ、顔への血流も滞らせます。
「肩こりがあると肌の調子が悪い」と感じるのは、実際に筋肉の連動による血流障害が起きているからです。

5. 加齢・筋力の低下

年齢を重ねると、表情筋や皮膚の弾力を支える筋膜の働きが弱まり、ハリが失われます。
肌表面に“しなやかさ”がなくなると、ファンデーションが吸い付くようにのらなくなるのです。

なぜ表情筋を動かすと化粧ノリが良くなるのか

化粧ノリの良し悪しは、実は「肌表面」だけの問題ではなく、肌を内側から支える筋肉と血流の状態によって大きく左右されます。

顔の筋肉——表情筋は、身体のほかの筋肉とは少し違い、皮膚と直接つながっている“皮筋”です。
つまり、筋肉が硬くなればその上にある皮膚も引きつり、柔らかく動けば皮膚もしなやかに伸び縮みします。

表情筋を動かすことで、次のような変化が起こります:

1.血流とリンパの循環が活発になる

筋肉を動かすとポンプのように血液が巡り、毛細血管まで酸素と栄養が届くようになります。これにより肌のトーンが明るくなり、スキンケア成分も浸透しやすくなります。

2.むくみや老廃物が流れやすくなる

顔の筋肉はリンパの流れを助ける役割も担っています。動かすことで溜まった老廃物が排出され、肌表面がスッキリと整います。

3.肌の水分保持力が高まる

筋肉が動くことで皮脂腺や汗腺が刺激され、肌が自ら潤いをつくり出します。これは外からの保湿だけでは得られない“内側のうるおい”です。

4.肌のキメが整い、ファンデーションの密着度が上がる

血流が整うことで角質層の水分バランスが安定し、肌表面の凹凸がなめらかに。ファンデーションが均一にのるようになります。

つまり、表情筋を動かすことは、肌を「温めて整える」ことと同じ

化粧を始める前に少しでも顔を動かすだけで、血流が促進され、スキンケアのなじみや化粧ノリがぐっと変わります。

次に紹介する「フェイスウォーミングアップ」は、そのための最初の一歩。
顔全体を目覚めさせるようにしっかりと動かし、肌を“メイクがのる顔”へと整えていきましょう。

顔全体を目覚めさせる「フェイスウォーミングアップ」

スキンケアをしてもメイクが浮いてしまうとき、実は“顔がまだ目覚めていない”ことが多いのです。
朝、体を伸ばして1日を始めるように、顔にも目覚めのストレッチが必要です。
それが「フェイスウォーミングアップ」。化粧ノリを左右する、最も大切な準備のひとつです。

フェイスウォーミングアップ

① 口をすぼめる
鼻から息を吸い、吐きながら口を「しゅ」の形にすぼめて前に突き出します。
②  鼻の下を伸ばす
鼻の下をのばして、口を「お」の形にします。
③ 顔を開く
目をぱっちりと開きながら、口を「うぁ」の形で顔全体を外に開きます。
④ 緩める
鼻から息を吸い、吐きながら顔全体を緩めます。
⑤ 繰り返し
①〜④を1セットとして、これを3〜5セット行います。

毎朝のスキンケアの前、またはメイク前の1〜2分でOKです。
「顔を動かしてから化粧をする」——たったそれだけで、メイクの仕上がりと持ちが見違えるように変わります。

化粧ノリが良い肌は「育てられる」

フェイスウォーミングアップのように、顔を意識的に動かす習慣を続けていくと、肌は少しずつ“自ら整う力”を取り戻していきます。
化粧ノリの良い肌は、単にスキンケアやメイクテクニックで作るものではなく、「血流・筋肉・水分バランス」の3つが調和して生まれる状態です。

1. 血流の「質」が変わる

顔の筋肉を動かすことで、血液は重力に逆らって毛細血管の隅々まで巡るようになります。
これを継続するうちに、血管壁が柔軟になり、肌細胞に酸素や栄養を届ける力そのものが高まっていきます。

この「良い血流」が定着すると、肌のくすみが抜け、朝から“ツヤが内側から出ている”ような透明感が感じられるようになります。
これは化粧下地やハイライトでは作れない、生きた血色です。

2. 筋肉が肌を下から支え、キメが整う

肌表面のなめらかさを決めるのは、表皮だけではありません。
実はその下にある筋肉の張りと弾力が、肌のハリ感や化粧ノリに大きく影響しています。

筋肉がしなやかに動くと、皮膚との間にある真皮層のコラーゲン線維にも微細な刺激が加わり、弾力のある肌環境を育てます。
逆に、筋肉が硬直していると血液やリンパが滞り、皮膚の表面が乾いて粉っぽくなりやすくなります。

顔を動かすことは、肌の“内側のストレッチ”でもあるのです。

3. 角質の入れ替えがスムーズになる

血行が良くなると、肌の新陳代謝(ターンオーバー)が正常化します。
古い角質がスムーズに排出され、新しい細胞がきれいに整列することで、スキンケアの浸透力が上がり、ファンデーションも均一に密着します。

一見すると小さな変化ですが、続けることで「肌が呼吸しているように軽くなる」のを感じられるようになります。

4. “潤いを保てる肌”になる

表情筋を動かすと、皮膚の下にある皮脂腺・汗腺が刺激され、天然の保湿成分(皮脂膜)が整います。
この皮脂膜がバランスよく保たれると、外からの保湿だけに頼らなくても、肌が一日中うるおいをキープできるようになります。

つまり、顔を動かす=肌の自活力を育てること。
時間が経っても乾きにくく、ファンデーションが密着しやすい“素肌の力”が備わっていくのです。

5. 肌と心のコンディションが連動する

顔の血流が良くなると、自律神経のバランスも整いやすくなります。
リラックスしながら顔を動かすことで副交感神経が優位になり、心身の緊張がゆるみます。
これにより、顔色や表情の柔らかさも自然に変化していきます。

“肌の調子が良いと気分が上がる”という経験があるように、実際に表情筋の状態はメンタルにも直結しているのです。

顔を動かす+保湿で、化粧ノリは変わる

トレーニングによって血流を良くし、筋肉をほぐした後は、保湿ケアがより効果的になります。
温めたスポンジが水分を吸収しやすいように、肌も温まり血流が良い状態でスキンケアを行うと、化粧水の浸透がぐっと高まります。

おすすめの順番

  1. 表情筋を動かす(フェイスウォーミングアップなど)
  2. スチームタオルで肌を温める
  3. 保湿を丁寧に重ねる

この流れを習慣化するだけで、化粧ノリが“朝から晩まで”変わります。

顔を動かせば、肌は応えてくれる

フェイスウォーミングアップは、毎日コツコツ続けるのが理想ですが、しっかりと大きく動かせば、たった1回でも効果を感じられるトレーニングです。
最初のうちは半信半疑でも、鏡を見ながら顔を大きく動かしてみてください。
終わったあと、頬や額がぽっと温かくなり、肌が内側からゆるむような感覚があるはずです。
それこそが、血流がめぐり出したサインです。

たった数分でも、顔の筋肉を動かすことで、肌は確実に変化を見せてくれます。
そして、その小さな変化を積み重ねていくうちに、
「今日はなんだか肌がつるんとしている」
「ファンデーションが薄くてもきれいに仕上がる」

そんな“うれしい日”がどんどん増えていきます。

化粧ノリの良さは、日々の表情筋ケアのご褒美です

それは偶然ではなく、日々の表情筋の積み重ねが肌に記憶された証拠。
動かすたびに血流が整い、肌の水分バランスが安定し、化粧ノリの良い日が“特別”ではなく“当たり前”になっていくのです。

そして、顔を動かすことは単に美容のためだけではなく、心身のめぐりを整えるセルフケアでもあります。
顔がほぐれると、気持ちも軽く、前向きに変わっていく。
その実感を、まずは1回から感じてみてください。

MYメソッドアカデミー

顔の学校「MYメソッドアカデミー」では、こうした表情筋の働きと肌コンディションの関係を、専門家の視点でわかりやすくお伝えしています。
自己流では難しいポイントも、プロの視点でしっかりサポート。
「顔を動かす」ことで、自分の肌が変わる体験を、ぜひ一緒にしてみましょう。

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