間々田 佳子

写真を見返したとき、
「思い切り笑ったつもりだったのに、口角が沈んでいる…」
そんな瞬間にハッとしたことはありませんか。

鏡の前ではしっかり笑えているつもりでも、写真では口角が下がり、どこか疲れて見えたり、不機嫌そうに見えたり──。

実はこの“口角の下がり”は、年齢に関係なく多くの方が抱えている悩みです。そして、誤解されがちですが、必ずしも「加齢」や「たるみ」だけが原因ではありません。

表情筋研究家としてお伝えしたいのは、口角が下がってしまう大きな理由は、筋肉の使い方のクセにあるということ。つまり、気持ちの問題でも性格でもなく、 “口元の動かし方が変わってしまっているだけ”。構造を理解し、正しく鍛えれば、誰でも自然に上がった口角を取り戻すことができます。

本コラムでは、口角が下がるメカニズムを筋肉と表情の構造から紐解き、改善につながるトレーニング方法まで、専門家の視点から詳しく解説していきます。

口角が下がっているとはどういう状態か

口角が下がっているとは、無意識のときに唇の端が“横方向ではなく下方向”へ引かれている状態。

具体的には、

  • 口角がへの字になっている
  • 口を閉じたときに口角が下へ沈む
  • 笑ったつもりが笑顔に見えない
  • 口角の左右差が出やすい

といった特徴があります。

口角という小さなパーツですが、“顔の印象”に与える影響は絶大です。

口角が下がっているだけで、

  • 不機嫌そう
  • 疲れている
  • 自信がなさそう
  • 年齢より老けて見える

という印象を与えてしまいます。

なぜ口角は下がるのか?

口角が下がる原因は1つではありません。複数の要因が積み重なって、この状態をつくります。
ここでは代表的な理由を整理します。

1. 表情筋の衰えによる「たるみ」

口角まわりには複数の筋肉が複雑に重なっていますが、その中でも重要なのが、

  • 口角挙筋(こうかくきょきん)
  • 大頬骨筋(だいきょうこつきん)

などの“口角を引き上げる筋肉”です。

これらが衰えると、口角を上へ引き上げる力よりも、口角を下へ引っ張る力のほうが優位になり、口角が沈んで見えてしまいます。
表情筋の衰えには加齢や運動不足などが関係しています。

2. 口角を下げる筋肉の働きすぎ

実は、口角を下に引く筋肉(口角下制筋)が強く働きすぎている人も多いです。

  • 悩んでいるとき
  • 考え事をしているとき
  • スマホを下向き姿勢で見ているとき

こうしたシーンで口角下制筋ばかりが使われて、 “下げグセ”がついていることがあります。

3. 舌の位置の低下(舌が喉へ落ちている)

舌が本来の位置(上あご)に収まらず下に落ちていると、口周りの支えがなくなり、口角が下がりやすくなります。
さらに舌が喉側に落ちると、あごの筋肉に力が入りやすく、口角を動かす筋肉が使いにくくなります。

4. 姿勢の乱れ(スマホ首)

下を向く姿勢が続くと、

  • あごが前に出る
  • 首が緊張する
  • 口周りの筋肉がゆるむ

といった状態になり、口角が自然と下がりやすくなります。

5. 表情のクセ

口角が自然に上がらない人は、日常の「表情の習慣」が関係していることが多いです。

  • 頬が上がらず目だけで笑う
  • 口角を横に引くクセがある
  • 表情が小さく動かない
  • “笑顔の作り方”を筋肉が忘れている

このように、口角を縦に引き上げる筋肉がうまく使われていないことが多いのです。

印象と口角の深い関係

口角が下がっていると、本来の表情よりも暗く見られてしまいます。

口角が下がっていると…

  • “怒っている?”と誤解されやすい
  • 笑顔が伝わりにくくコミュニケーションの損失が起きる
  • 疲れて見える
  • 自信がなさそうに見える
  • 表情のメリハリがなくなる

特に「本人は笑っているつもりなのに笑って見えない」という状態は、本人にとっても相手にとっても損です。

人は“口角の角度”を無意識のうちに読み取り、その人の印象を決めています。
だからこそ、口角を上げる筋肉をしっかり使えるようになることは、自信・印象・コミュニケーションのすべてに大きな影響を与えます。

口角を引き上げるのは「口角挙筋」

口角挙筋は、上あごの骨から口角に向かって伸びる縦方向の筋肉。
主な働きは、

  • 口角を上へ持ち上げる
  • 笑顔の軌道を作る
  • 頬の立体感を支える

表情筋の中でも、口角を上げるための最も重要な筋肉です。
口角挙筋がうまく働かないと、

  • 口角が横に流れる
  • 笑っても頬が上がらない
  • 笑顔が平面的になる
  • 口元が“への字”になる

という状態になりやすくなります。

逆に、口角挙筋がしっかり働くようになると、

  • 口角が自然に上がる
  • 頬がふわっと立体的になる
  • 笑顔が柔らかく見える
  • 表情が若々しくなる
  • 瞬発的に笑顔が作れる

という変化が生まれます。

重要なのは、この筋肉が“縦方向の動き”を担っているという点です。
口角を横や下に引くクセがある人は、この口角挙筋をしっかり使えていない可能性が高いのです。

口角挙筋が衰えやすい日常習慣

口角が下がりやすい人には、いくつか共通する“生活と表情のクセ”があります。
一見関係なさそうに見える習慣でも、積み重なることで口角挙筋の働きを弱め、口角が沈みやすい状態をつくってしまいます。

以下のような習慣は、特に影響が大きいポイントです。

1. 考えごとが多く、口元が無意識に緩む

集中すると口角が横に流れたり、下がったりする癖がある人は多く、その状態が“普段の表情”として定着してしまうケースがあります。

2. 表情を動かす機会が少ない

マスク生活が長引いたり、オンラインでの会話が増えたり、現代の日常生活では、思っている以上に顔を大きく動かす場面が減っています。

表情筋は “使わなければ衰える” 筋肉。
特に口角は小さな筋肉で繊細なため、動かす機会が少ないほど下がりやすくなります。

3. スマホを見る時間が長く、姿勢が悪くなる

下向き姿勢(スマホ首)は口角を下げる大きな要因です。
あごが前に出ると、口周りの筋肉が緩み、舌が下がり、口角を持ち上げる筋肉が働きにくくなります。

4. 食いしばりやあごの緊張が強い

食いしばりがあると、口角を下げる「口角下制筋」が過剰に働き、口角を上げる「口角挙筋」とのバランスが崩れます。結果として、不機嫌そうな“への字口”になりやすくなります。

5. 舌が下に落ちている(舌の低位)

舌が上あごではなく下に落ちている状態は、

  • 口が開きやすい
  • 口元がゆるみやすい
  • あごが緊張しやすい

といった状態をつくり、口角を引き上げる精密な動きが難しくなります。

6.笑顔を作るのが苦手、表情が小さい

日本人に多いのが、“笑うときに目元中心で笑ってしまい、口角や頬が上がっていない”状態。
口角の動かし方を筋肉が忘れているため、笑顔のつもりでも写真では笑って見えないことが起きます。

7. 無意識のときに口角を横や下に引くクセがある

本人が気づかないうちに

  • 口元をきゅっと締める
  • 口角を横に引く
  • 片方だけ下げる

などの習慣がついていることも多く、このクセが“下がる口角”をさらに強化してしまいます。

これらの習慣が積み重なると、口角を引き上げる口角挙筋が使われる機会がほとんどなくなり、知らず知らずのうちに “下がりやすい口角”が日常のデフォルト状態 になってしまいます。

しかし逆に言えば、これらのクセに気づき、正しい筋肉の使い方を取り戻せば、口角は確実に変わります。

「口角舌筋ストレッチ」で口角挙筋を育てよう

① 舌筋を前に出す
口を緩めたまま、舌筋を前に突き出します。
② 口角を上げる
口角を上げ、上の歯を8本見せ、5秒キープします。
③ 繰り返す
①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

縦方向に口角を引き上げる口角挙筋を意識しながら、口角を上げてみましょう。
ポイントは、上の歯は8本見せても、下の歯は見せないこと。

もしこのとき、下の歯が見えてしまうなら、口角を上げるのではなく横に“引く”動きがクセになっている証拠です。
その場合、笑顔を作るときにあご周りの筋肉が過剰に働き、本来使いたい口角挙筋がうまく使われていません。

「口角舌筋ストレッチ」は、この“引いてしまうクセ”を丁寧にほどき、 本来の上へ持ち上げる動きを呼び戻すトレーニングです。

最初は難しく感じる方も多いですが、続けるほどに口角挙筋が育ち、驚くほど軽く、自然に口角が上がるようになります。

どうぞ焦らず、少しずつ続けてみてください。筋肉は必ず応えてくれます。

口角を上げる最短ルートは正しく筋肉を使うこと

もしあなたが、
「笑っているつもりなのに不機嫌に見られる」
「疲れてる?とよく聞かれる」

そんな経験があるなら、原因は“性格”ではなく 口角の下がり にあるのかもしれません。

口角が下がる背景には、日々の“顔の使い方のクセ”が大きく影響しています。そして、その顔の使い方には 姿勢 が密接に関わっています。
試しに、思い切り猫背になり、あごを前に突き出した状態で口角を上げようとしてみてください。
おそらく、思うように上がらないはずです。

これは、猫背になると首やあごまわりの筋肉が後ろへ引っ張られ、口角挙筋が上に動くためのスペースが失われてしまうため。
さらに、口角を下げる筋肉が優位になり、自然と“下がる動き”が働いてしまいます。

つまり——

姿勢を整え、表情筋を正しく使えるようになれば、
誰でも自然とスッと口角が上がるようになる。

ここに、性格・生まれつき・年齢は関係ありません。

  • 笑っているのに伝わらない
  • 疲れて見られる
  • 写真で口角が沈んでしまう

そんな悩みも、口角挙筋を育てて“上方向へ引き上げる動き”を取り戻すことで、確実に改善していきます。

表情筋は、正しい方向づけが大切なんです!

「口角舌筋ストレッチ」はその第一歩。今日から少しずつ続けることで、あなたの笑顔は軽やかに明るく変化していきます。

難しいことを考える必要はありません。まずは、ほんの数秒でも顔を動かしてみてください。小さな変化の積み重ねが、あなたの表情と印象を必ず変えていきます。

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ぜひ一度体験してみてください。

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