間々田 佳子

「最近よくむせるようになった」
「お茶を飲んだだけでゴホッとなる」
「食事中に咳き込むことが増えた」

こうした変化を、年齢のせいだと思っていませんか。

むせは単なる“うっかり”ではありません。実は、舌や口周りの筋肉の状態と深く関係しています。

私は表情筋研究家として、顔の筋肉と印象・発声・呼吸・嚥下(飲み込む動き)の関係を研究してきました。むせやすさは、メンタルでも体質でもなく、「筋肉の使い方」が大きく影響しているケースが少なくありません。

今回は、

  • むせるとは何か
  • なぜ起きるのか
  • 舌筋の構造
  • なぜ舌筋を鍛えると改善が期待できるのか

を、表情筋研究家の視点から解説していきます。

※本コラムは医療的診断や治療を目的としたものではありません。医療の専門家ではなく、表情筋研究家の立場から、顔・舌・口周りの筋肉の使い方という視点で「むせやすさ」について解説しています。気になる症状が続く場合は、必ず医療機関へご相談ください。

むせるとはどういう状態か

むせるとは、本来食道へ送られるはずの飲食物が、誤って気道のほうへ入りかけたときに起こる防御反応です。
私たちは普段、「飲み込む」という動作を無意識に行っています。しかし、飲み込むという行為は、実は非常に高度な筋肉の連携プレーです。

舌、頬、口輪筋、 喉周りの筋肉、呼吸のコントロール

これらがタイミングよく動いてはじめて、安全に飲み込むことができます。
どこか一つでも動きが鈍くなると、タイミングがずれ、むせやすくなります。

現代人がむせやすくなっている理由

最近、年齢に関係なくむせやすい人が増えています。

理由のひとつは「舌の運動不足」です。

  • スマホ時間の増加
  • 会話量の減少
  • 柔らかい食事の増加
  • 口を閉じたまま無表情でいる時間の長さ

こうした背景によって、舌筋は使われなくなっています。

舌は、常に上あごについているのが理想のポジションです。しかし舌が下に落ちている人がとても多い。

舌が落ちているということは、

  • 支える力が弱い
  • 押し上げる力が弱い
  • 送り込む力が弱い

ということです。

この「送り込む力」が弱くなると、むせやすくなります。

舌筋の構造を知る

舌は一枚の筋肉ではありません。複雑な筋肉の集合体です。

大きく分けると、
内舌筋(舌の形を変える筋肉)
外舌筋(舌の位置を動かす筋肉)
の二つに分かれます。

内舌筋は、舌を細くしたり、広げたり、反らしたりする筋肉です。
繊細な発音や食べ物のコントロールを担います。

外舌筋は、舌を前後上下に大きく動かす筋肉です。
上あごに押しつける、奥へ引く、といった動きに関わります。

この内舌筋と外舌筋が連動することで、

  • 食べ物をまとめる
  • 喉の奥へ送り込む
  • 気道へ入らないようコントロールする

という一連の動きが成立します。

舌は、いわば“飲み込むための司令塔”です。

舌筋を強化すると何が変わるのか

舌筋を鍛えると、まず「上あごに乗る力」が戻ります。

舌が正しい位置に安定すると、

  • 飲み込む準備が整う
  • 口が閉じやすくなる
  • 呼吸が安定する

という変化が起こります。

さらに、舌をしっかり押し上げられるようになると、飲み込みの瞬発力が高まり、食べ物を一気に安全な方向へ送り込めるようになります。
これは滑舌改善とも同じ原理です。舌がしっかり動くと、発音も明瞭になります。

むせ改善と滑舌アップは、実は同じ「舌筋強化」の延長線上にあるのです。

舌筋強化1「ストレスリセット」

舌筋をダイナミックに使うトレーニングが「ストレスリセット」です。

① 目を開く
目を大きく見開きます。鼻から息を吸い、吐きながら、思い切り舌を出します。息を吐ききったら、鼻から息を吸いながら、舌を戻します。これを3回繰り返します。
② 深呼吸
目を閉じて深呼吸。顔全体の緊張が緩み、血行が良くなっていることを確認します。
③ 繰り返し
①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

やり方はシンプルですが、意識がとても大切です。

舌を前に突き出すとき、ただ出すのではなく 「おへそに向かってまっすぐ伸ばす」イメージで行います。

ポイントは勢い任せにしないこと。
首の後ろがギュッと縮まらないように注意してください。
顎が前に突き出ないよう、軸を保ったまま、舌だけを伸ばします。

舌をしっかり伸ばすことで、舌の根元まで刺激が入り、送り込む力の土台が鍛えられます。さらに、首まわりや広頚筋とも連動するため、飲み込みの安定にもつながります。

舌筋強化2「口輪筋プッシュ」

もう一つが「口輪筋プッシュ」です。

① 舌を内側にセット
口をすぼめます。右頬の内側から舌でほうれい線を、3〜5回上下になぞります。
② 反対
反対も同様に行います。
③ 繰り返し
①〜②を1セットとして、これを3〜5セット行います。

舌を使って、ほうれい線の内側をなぞるようにしっかりと押していきます。
ポイントは、舌先だけでなく舌全体を使うこと。

唾液がじゅわりと出てくるくらい、しっかり動かしてください。

唾液が出るということは、舌が目覚めている証拠です。

このトレーニングは、舌筋を使いながら、同時に口輪筋も鍛えることができます。

口がゆるんで開かないように注意しながら行うことで、飲み込みの準備力が高まり、
食べ物をまとめる力も向上します。

むせやすい方は、舌の力だけでなく、口の締まりも弱っていることが多いのです。

口輪筋プッシュは、舌と口周りを同時に整える効率のよいトレーニングです。

何より大切なのは「日常の舌の位置」

トレーニングは大事です。でも、それ以上に大切なのが「普段の舌の位置」です。

舌の正しい基本ポジションは、上あご。“ちょこん”ではなく、 “べとっ”と広い面でつけるイメージです。

舌全体を上あごに密着させる。

これを習慣化するだけで、舌は一日中トレーニング状態になります。

逆に、舌が下に落ちている時間が長いと、どんなトレーニングをしてもリセットされてしまいます。

  • テレビを見ているとき
  • スマホを触っているとき
  • 家事をしているとき

ふと気づいたら、舌を上あごへ。

この小さな意識の積み重ねが、むせにくい舌を育てます。

見落とされがちな舌の運動不足

舌筋は、目立たないけれど、顔と体の土台を支えているとても重要な筋肉です。飲み込む力、話す力、呼吸、そして印象までも左右しています。

むせやすさが気になると、「年齢のせいかもしれない」と感じる方もいるでしょう。もちろん、症状が続く場合や強い違和感がある場合は、医療機関への相談も大切です。

そのうえでお伝えしたいのは、意外にも「舌が運動不足になっている」という事実です。

舌は筋肉です。
腕や脚と同じように、使わなければ衰えます。
そして、動かせばきちんと応えてくれます。

舌も、自力で鍛えられる筋肉なんです!

日常生活で舌を意識的に動かす機会は、実はほとんどありません。会話量の減少や柔らかい食事の増加によって、舌は静かに運動不足になっています。「舌も鍛えられる」ということを知らない人がとても多いのです。
そして何より大切なのが、舌の「定位置」です。

舌は本来、上あごについているのが正しいポジション。舌先だけちょこん、ではなく“べとっ”と広い面で密着している状態です。

舌が下に落ちていると、口の中の床(口腔底)が下がり、あご下が内側から支えられなくなります。その結果、あご下の緊張が抜け、フェイスラインが緩みやすくなります。

さらにここに関わってくるのが「広頚筋(こうけいきん)」です。
広頚筋は、あご下から首、デコルテへと広がる薄く大きな筋肉で、フェイスラインを下から支える重要な役割を担っています。

舌が落ちている状態が続くと、内側の支えが弱まるだけでなく、広頚筋も使われにくくなり、徐々に衰えていきます。
舌の低下と広頚筋の衰えが重なると、二重あごやフェイスラインのもたつきは進行しやすくなります。

逆に、舌が上あごに安定してつくようになると、口腔底が引き上がり、広頚筋も内側から刺激されやすくなります。
内側(舌)と外側(広頚筋)の両方から支える力が戻ることで、フェイスラインは自然と引き締まりやすくなります。

むせ対策として始めた舌トレが、いつの間にか二重あご予防や小顔印象にもつながる。

これは偶然ではありません。
舌は、顔の“内側の土台”だからです。

今日からぜひ、
ストレスリセット
口輪筋プッシュ
そして“舌べとっ習慣”。

テレビを見ているとき。
スマホを触っているとき。
家事をしているとき。

気づいたら、舌を上あごへ。

小さな意識の積み重ねが、飲み込みやすさと、すっきりとしたフェイスラインの両方を育てます。

MYメソッドアカデミー

舌筋の正しい鍛え方や、飲み込み力と印象力を同時に整える方法を体系的に学びたい方は、ぜひ顔の学校「MYメソッドアカデミー」へ。
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